電極が半固体の次世代電池で目指す、EVの課題解決:電動化(2/3 ページ)
24Mテクノロジーズはリチウムイオン電池向けの電解液「Eternalyte(エターナライト)」のラインアップを拡大した。
セパレーターで電池はどう変わる
電解液のエターナライトは、24Mテクノロジーズのセパレーター「Impervio(インパービオ)」と併用することで安全性や電池の性能をさらに改善できるとしている。具体的には、内部短絡の原因となるリチウム金属(デンドライト)の析出(成長)を抑制し、電池の熱暴走や火災の予防に貢献する。
インパービオはデンドライトが貫通しない層を設ける。150サイクルの充放電後も、負極側で発生したデンドライトが正極側では確認されなかった。また、デンドライトが成長していることをセパレーター内の導電層で検知するモニタリング機能を持つ。これによって、修理やリコールで交換すべきバッテリーが明確になる。
デンドライトは、製造時のコンタミによっても発生するが、コンタミをゼロにするのは簡単ではない。生産プロセスを作り込んだ大手でも起きる可能性がある。「プロセスでコントロールするのが難しいので、メカニズムでコントロールするという考えだ」(太田氏)。
デンドライトによる内部短絡は固体電解質であっても起き得る。固体電解質は単結晶ではないのでひび割れが起こり、その中にリチウムデンドライトが成長する。
リチウムイオン電池を分解して中を見ると、多数のデンドライトが析出し、マイクロショートが起きている場合があるという。「デンドライトが折れるのが速いか、貫通するか。デンドライトはどのように育つか分からない。10年後も大丈夫かも分からない」(太田氏)。そのため、デンドライトによる内部短絡を原理的に100%起こさないインパービオが貢献できるとしている。
インパービオの製造は、出資元である旭化成の他、複数の化学メーカーに打診している。サンプル評価も実施中で、2026年後半にも量産できる見通しだ。
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