ネットワーク不要で産業機器の故障予兆検知ができるAI機能搭載マイコン:人工知能ニュース
ロームは、AI機能を搭載したマイコン「ML63Q253x-NNNxx」「ML63Q255x-NNNxx」を発表した。クラウドやネットワークに依存することなく、マイコン単体で産業機器の故障予兆検知や劣化予測ができる。
ロームは2025年3月18日、AI(人工知能)機能を搭載したマイコン「ML63Q253x-NNNxx」「ML63Q255x-NNNxx」(AIマイコン)を発表した。メモリサイズやパッケージ、ピン数、梱包仕様の異なる合計16機種を提供予定で、同年2月から8機種を順次量産している。
AIマイコンは、センシングデータを活用し、モーターなど産業機器の故障予兆検知や劣化予測ができる。独自のオンデバイスAIソリューション「Solist-AI(ソリスト エーアイ)」が最大限に機能を発揮できるよう、シンプルな3層ニューラルネットワークのアルゴリズムを採用。クラウドやネットワークに依存することなく、マイコン単体で学習と推論ができる。
従来のAI処理モデルでは、ソフトウェアで推論するために、GPUや高性能CPUが必要とされる。新型のAIマイコンは、オンデバイス学習により、学習と推論の両方をマイコン単独で実行可能で、設置環境や同一機種でのばらつきにも柔軟に対応する。また、独自技術のAIアクセラレーター「AxlCORE-ODL」が、既存の同社製マイコンと比較してAI処理を約1000倍高速化し、リアルタイムで異常を検知して数値を出力する。
機器の設置場所で高速学習(現場学習)が可能で、既存の機器に後付けできる。32ビットの「Arm Cortex-M0+ Core」、CAN FDコントローラー、3相モーター制御PWM、2ユニットA-Dコンバーターを搭載するほか、消費電力約40mWと優れた省電力性能を発揮する。産業機器に加え、住宅設備や家電機器の故障予兆検知にも適している。
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