2030年の物流の課題解決に必要なのは「自動運転車×共同輸送」:物流のスマート化(3/3 ページ)
ダイナミックマッププラットフォームとBIPROGY、NEXT Logistics Japan、ヤマト運輸の4社は自動運転車と共同輸送を掛け合わせて高速道路の長距離輸送の課題解決を目指す。
データ連携システムのさまざまな機能
2025年2月25〜27日には、自動運転サービス支援道を先行的に設置する新東名の駿河湾沼津SAと浜松SAの間で自動運転トラックの走行実証を実施した。これに合わせて、自動運転を支援するデータ連携システムも発表した。
高精度3次元地図の整備などを手掛けるダイナミックマッププラットフォームは、車両のセンサーでは検知できないルート上の情報を車両や車両を運用する物流事業者に提供する。気象情報や渋滞情報の提供により、車両がより安全な自動走行ができる他、物流事業者はゲリラ豪雨など突発的な状況に応じて緊急退避を検討/指示することが可能になる。橋やトンネル出口などピンポイントな天候の変化もカバーする。各種情報は、高精度3次元地図に関連付けて統合配信する。
データ連携システムでは、自動運転車の安全性向上に必要となる、危険な場面に関する情報も取り扱う。事故になりかねない「ニアミス情報」をドライブレコーダーなどから収集し、それを自動運転車の安全性評価のシミュレーションで使うシナリオに使用する。シナリオはデータベースとして整備する。
ニアミス情報は乗用車メーカーでは個社で蓄積、活用する場合が多い。商用車の自動運転車ではニアミス情報を共用し、シミュレーションに活用できるようにしていく。商用車メーカー各社で技術開発では競争より協力を重視する傾向が強まっていることも背景にある。
この他にも、共同輸送の効率化を支援する機能もデータ連携システム上で取り扱う。荷物やトラックの空き状況など必要なデータを入力し、荷物とトラックをマッチングさせる。また荷主と物流事業者が連携できるAPIも開発した。自動運転車の遠隔監視システムや、ダイナミックマッププラットフォームによる情報配信とも連携する。これらの取り組みでは、国土交通省の物流情報標準ガイドラインに準拠した、物流事業者と荷主、車両が連携できる共通プロトコルを採用する。
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