無駄なトラックの荷待ち時間を削減、東レで実績積んだ月3万円のシステムを発売:製造ITニュース
東レエンジニアリングDソリューションズは、工場などのトラック入場の予約や記録を行うシステム「TONOPS バース予約」の販売を開始する。物流2024年問題で課題となっているトラックの荷待ち時間を削減し、物流業務の効率化を支援する。
東レエンジニアリングDソリューションズは2025年4月3日、工場などのトラック入場の予約や記録を行うシステム「TONOPS バース予約(トノプス バース予約)」の販売を開始すると発表した。物流2024年問題で課題となっているトラックの荷待ち時間を削減し、物流業務の効率化を支援する。
物流2024年問題として深刻なドライバー不足が社会問題となっているが、その要因の1つとして、運送トラックが目的地到着後に待機する時間の長さがある。これを解決するために日本政府からも、荷待ち時間や荷役作業の時間を把握し、原則2時間以内に収めることや、物流の改善提案と協力を行うことを骨子とした指針が示されている。
東レエンジニアリングDソリューションズが開発した、TONOPS バース予約はこれを解消することを目指すものだ。バース予約とは、トラックが荷物の積み下ろしを行うバース(荷さばき場)の利用を事前に予約する仕組みだ。業務用配送で、バースへのトラックの入場時間を予約し、荷主企業と運輸企業間のスケジュールの共有と、荷待ちや荷役時間の記録を行う。これにより、無駄なトラックの待ち時間を削減できる。
TONOPS バース予約の特徴は、シンプルな機能に特化し誰でも簡単に使えるようにした点、利用企業の要望に合わせたシステム連携などカスタマイズに対応できる点、クラウドサービスで1ユーザー当たり月3万円〜という手ごろな価格で導入できる点などだ。これにより、荷待ちの発生時間が予測でき、効率的なスケジュールが立てられ、荷役時間の短縮や業務効率化に貢献する。東レエンジニアリングDソリューションズ 理事でシステム技術本部 事業企画室長の坂東和憲氏は「トラックの荷待ち時間の長さは大きな問題になっているが、導入できるちょうどよいシステムがなかった。TONOPS バース予約はシンプルな機能で価格を抑えたことで誰でも導入しやすい形にしたことがポイントだ」と述べている。
TONOPS バース予約は、東レグループ内での実証を基に開発してきた。特に出入荷の多い三島工場(静岡県三島市)と土浦工場(茨城県土浦市)で3カ月にわたって実証を行ってきたが、トラックの待機時間を70%以上削減し、倉庫作業員の時間外作業の抑制につながっているという。坂東氏は「物流事業者、荷主企業のそれぞれで大きな成果が得られている」と説明する。
今後は、トラック入場管理を必要とする荷主側企業や運輸/倉庫事業者向けに提案を進め、2025年度に5千万円、2028年度に3億円の売上高を目標としている。坂東氏は「初年度は60営業所、2年目は100営業所での導入を目指す」と語る。
これまでTONOPSシリーズは、生産計画用システム「TONOPSスケジューラ」と生産工程/品質管理用システム「TONOPS工程管理」を展開してきたが、2022年に「TONOPSロジスティクス」シリーズの販売を開始し、ロジスティクス領域への展開を開始。TONOPS バース予約を加えることで、さらにカバー領域を広げる方針だ。坂東氏「現在、配車管理のソリューションも用意しているが、さらに圧倒的な精度を実現できるように開発を強化している。今回のバース予約と配車スケジューラーを連携させることで、ワンストップでの業務効率化を実現できるようにしていきたい」と今後の展望について述べる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
物流2024年問題にどう立ち向かうべきか、3段階のアプローチで対策せよ
「ITmedia Virtual EXPO 2023秋」の「スマートファクトリーEXPO」において、ローランド・ベルガーの小野塚征志氏が「物流の2024年問題にどう立ち向かうべきか」と題して行った講演について紹介する。機械工具業界特有の五月雨受注には半自動化で対応、山善が取り組む物流効率化
「ITmedia Virtual EXPO 2024 夏」の「リテール&ロジスティクス サプライチェーンEXPO」において、山善 執行役員 営業本部エネルギー・ソリューション事業、建設監理、物流企画管掌の松田慎二氏が「山善が進める五月雨受注に対応した半自動化とラストワンマイル自社配送網拡充」と題して行った講演について紹介する。2024年問題解決に向けて変化する物流拠点 日本GLPはグループ全体で取り組む
日本GLPは2024年3月6日、「物流2024年問題」の解決に寄与する同社グループ事業についての説明会を開催した。オリンパスの倉庫自動化プロジェクトが最終段階に、自動梱包で何を実現したのか
オリンパスの相模原物流センターにおける倉庫自動化プロジェクトが最終段階を迎えた。これまでに導入した3つの自動倉庫システムに加えて自動梱包ラインを構築したのだ。この自動梱包ラインは、コスト削減ではなく、貨物の絶対数と容積の圧縮を目標に掲げている。「鎖」の形が変わるサプライチェーン その中で製造業が勝つためには
MONOistが開催したオンラインセミナー「サプライチェーンセミナー 2024 秋〜デジタル化による革新と強靭化〜」から、ローランド・ベルガー パートナーの小野塚征志氏による「サプライチェーンの課題と進化への道筋」と題した基調講演の一部を紹介する。喉元過ぎた熱さを忘れない、2025年こそサプライチェーン変革に乗り出すべき理由
コロナ禍で苦しんだサプライチェーンの混乱から数年がたち、喉元を過ぎた熱さを忘れた企業も数多くあるが、果たしてそれでよいのだろうか。2025年こそSCM変革に乗り出さなければならない理由について考える。