45万人だけが参加できる万博のパナソニックパビリオン、半年かけた実証実験も:イノベーションのレシピ(3/3 ページ)
パナソニック ホールディングスは、「2025年大阪・関西万博」におけるパナソニックグループのパビリオン「ノモの国」の展示内容について説明した。
展示エリアは「半年間の会期を使ってさまざまな実証実験を行う舞台に」
展示エリアの大地も、主な来場者となる子どもに向けた体験型展示が中心となっている。パナソニックHD 万博推進プロジェクト テクニカルディレクターの原吉輝氏は「半年間の会期を使ってさまざまな実証実験を行う舞台にもなる」と説明する。
大地のエントランス部では、成長刺激剤「Novitek(ノビテク)」の効果検証を行っている植栽を展示している。Novitekは植物の葉面に塗布することで成長を促進する効果があり、ほうれん草の収穫量が約40%増加したという実証結果もある。ノモの国の大地では、屋内環境でとうもろこし、トマト、ほうれん草などの生育状況をNovitekのありなしで比較検証するな予定だ。2カ月に1回、植栽を入れ替えることも検討している。「収穫した野菜を使ったイベントなども行えれば」(原氏)。
発電効率18.1%を誇るペロブスカイト太陽電池の展示では、大地の出口の箇所に設置している1.0×1.8mサイズの「発電するガラス」の他に、LED光を当てることで動き出すさまざまな模型も用意している。
生分解素材であるセルロースファイバーを用いた樹脂素材「kinari」では、つなぎ樹脂も生分解性を持たせることで100%生分解性にしたリーフオブジェを披露する。
万博向けに開発を進めてきたのが発光微生物を用いたバイオライトである。電力を使うことなく光る明かりとして期待されている。これまでに60l(リットル)の発光微生物を1週間連続培養することに成功しており、万博会場では閉幕までの半年間の長期培養に取り組む方針である。
自然を五感で感じる空間として用意されているのがバイオセンサリードームだ。バイオセンサリードームは2つあり、1つはミストと照明と音による「集中の瞑想」、もう1つは生き物のように暖かく呼吸している「呼吸玉」に触れることによる「気づきの瞑想」がテーマになっている。なお、ドームの壁面に用いられているパネルはキノコの菌糸から作成されている。
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