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変換効率30倍 CO2をCOに還元する触媒とは?:研究開発の最前線
住友金属鉱山は、CO2を高効率でCOへ還元する紫外光応答型光触媒を開発した。助触媒の担持手法を確立し、サイズや構造を最適化することで、従来手法に比べて変換効率が30倍に向上した。
住友金属鉱山は2025年3月11日、京都大学と共同で、CO2(二酸化炭素)を高効率でCO(一酸化炭素)へ還元する紫外光応答型光触媒を開発したと発表した。従来手法に比べ、変換効率が30倍に向上した。
両者は2022年より、CO2還元に高い性能を示す、半導体光触媒と助触媒から成る光触媒材料の開発に取り組んでいる。今回の研究では、京都大学の触媒合成と評価技術、住友金属鉱山の粉体合成、表面処理技術を組み合わせ、助触媒の担持手法を確立し、サイズや構造を最適化した。
具体的には、住友金属鉱山の超音波還元法を活用し、Ag助触媒をタンタル酸亜鉛(ZnTa2O6)に担持させ、これにCr化合物をコーティングする手法を確立した。ZnTa2O6は、紫外光照射下でCO2を選択的にCOへ還元できる。
この手法で作製したAg/ZnTa2O6は、CO2光還元で得られるCO濃度を、従来の270ppm程度から8000ppm超に高めることができた。
光触媒反応によるCO2還元は、プラスチックの原料となるCOへCO2を変換することから、カーボンニュートラル社会に寄与する技術として期待される。今後は、太陽光に含まれる可視光を利用できる光触媒を検討し、CO2還元性能の向上を目指す。
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