東京で存在感を増すデンソー、新橋の新オフィスを軸に共創を加速:デンソー新東京拠点の狙い(前編)(2/2 ページ)
東京支社が入居するオフィスを日本橋から新橋に移転するとともに、首都圏に散在していたさまざま機能を集約したデンソー。本稿では前後編に分けて、デンソーが東京でどのような活動を進めているのかについて解説する。
社内外との共創を促進、新橋/虎ノ門エリアでの地域貢献も
新東京オフィスは3つのコンセプトに基づいてデザインされている。1つ目のコンセプトは「共創の促進」で、社内外で多くのコラボレーションを生み出すことを目指している。
新東京オフィスは、新橋と虎ノ門、両方とのアクセス性が高い「新虎地区」にある。入居する新虎安田ビルは、新橋、虎ノ門、虎ノ門ヒルズ、内幸町、御成門、汐留の各駅が徒歩10分圏内にあり、Global R&D Tokyo, Hanedaや刈谷本社へのアクセス性は良好だ。社内連携を容易にする拠点配置に加えて、社外と連携するための仕掛けも新たな東京支社に用意されている。東京支社は新虎安田ビルの8〜14階に入居しているが、ビル最上階の14階に社内外問わず多くの人が集える共創スペース「集(TSUDOI)」や、デンソーの東京支社における各部の活動内容を展示するスペース「D+」、外部企業との協業のためのプロジェクトルームなどが設置されている。
2つ目のコンセプトは「基盤の共通化」だ。新東京オフィスには、営業、技術、新価値領域、広報渉外、IT、9つのグループ会社を集結した。首都圏エリアの従業員約1700人のうち、営業、技術、新価値領域、広報渉外、IT、9つのグループ会社の約1000人が新東京オフィスに集まることになる。これらのバックオフィス機能の一元化と情報セキュリティ機能の強化を進めており、オフィスコストは従来比で20%削減できているという。
そして3つ目のコンセプトが「地域への貢献」である。デンソーの東京支社はこれまで品川や日本橋にあったものの、その存在が対外的に認知されるような地域貢献活動は行っていなかった。横尾氏は「新虎通りエリアマネジメント協議会に参加するなど、新橋/虎ノ門エリアのコミュニティー活動に参加し地域貢献していきたい。東京におけるデンソーの活動を印象付けられるように、新虎安田ビルにはデンソーのロゴを掲示させてもらっている」と述べる。なお、新たな東京支社に対する社員満足度調査でも、移転前に比べて15ポイントアップしているという。
後編では、デンソーの新東京オフィスで活動を行っている、ソフトウェア開発、SoC開発、AI開発など各部門の取り組みを紹介する。(後編に続く)
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