サントリーの3Dプリンタ活用事例 ラインセットアップに必要な時間を半分に:3Dプリンタニュース(2/2 ページ)
マークフォージド・ジャパンは、記者会見を開き、日本市場での動向や導入事例、AMプラットフォームの概要、国内新規代理店との契約、今後の展開について紹介した。
食品包装業界に注目するワケとは?
マテリアルに関して、2024年にナイロン材料「Nylon White FS」で充填剤を含まない非研磨性ナイロンとして食品機器材料のNSF認定「NSF/ANSI規格51」を取得している。この規格は「FDA CFR タイトル21」に準拠し、食品接触用として認定されたことを意味する。
森氏は「Markforgedでは近年、Nylon White FSのような、食品の接触に対応する素材が増えてきている。そのため、新たなターゲットとして食品の包装/パッケージ業界に注目している。パッケージのデザインはさまざまなため、一般的な包装機のロボットハンドでは対応できず、カスタマイズしなければならない場合がある。この課題に対応するために、ブランドオーナーはロボットハンドの先端部を外部の企業に金属の切削加工で製作してもらうケースがある。しかしながら、FX10などの3Dプリンタを使えば、ブランドオーナーが社内でロボットハンドのカスタムパーツを作れるだけでなく、金属をプラスチックに変更し軽量化も図れる。あるブランドオーナーに聞いたところ、外部委託によるロボットハンドカスタムパーツの製作費用は30万円だという。Markforgedのマテリアルであれば6万円で作れる」と強調した。
Markforged President & CEOのShai Terem(シャイ・テレム)氏は「当社のCFR(ゴムと炭素繊維織布の複合素材)はABSプラスチックと比べ25倍の強度があり、アルミニウムと比較して2〜3倍の強度がある。そのため、金属の代替として使える他、使用することで金属より軽量化を図れる」と他のマテリアルにも言及した。
Eigerは、Webブラウザ上で操作可能な同社製金属3Dプリンタ向けのプラットフォーム製品で、設計データを造形用データに変換し、カーボン繊維と金属で強化された複合パーツなどを3Dプリンタで出力できる。プラットフォーム上でパーツの設定を細かく調整して、最終製品を最適化することも可能だ。変換した造形データは、プラットフォーム上の安全なライブラリーに残せ、プリンティングしたい時に使える。
オンラインでソフトウェアを最新版に更新するOTA(Over The Air)技術も採用しているため、常に最新バージョンを使用できるだけでなく、システムに異常がないかのメンテナンスも自動で行われる。
国内の新規代理店として同社はサカノシタと契約した。サカノシタは京都市南区に本社を構える企業でヤマザキマザックの工作機械などを販売している企業だ。Markforgedの国内販売代理店としては6社目となる。
今後の展開に関して森氏は「当社は引き続きMarkforgedのAMプラットフォームにより、試作や大量生産ではなく、製造業をよりダイレクトにサポートできるように、必要な部品を、必要な場所で、必要な時に製造する分散型モノづくりを推進する」と語った。
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