住友ゴムの長期経営戦略 路面にタイヤが適応し変化する次世代スイッチを開発:製造マネジメントニュース(5/5 ページ)
住友ゴム工業は2025〜2035年を対象とした長期経営戦略「R.I.S.E. 2035」を策定した。
新規事業の構想とは?
スポーツ事業の戦略では、ゴルフビジネスやテニスビジネス、新分野に向けた展開を加速する。ゴルフビジネスでは、ゴルファーのスタイル変化に合わせた製品を提供するとともに、事業範囲を拡張し、ゴルフギアだけでなく関連のサービスやソフトグッズもM&Aなどで扱えるようにする。オフコースゴルファー(ゴルフ場に行かないゴルファー)を含めて顧客の接点創出も行う。デジタルマーケティングで顧客を囲い込み、ゴルフギアの事業成長も加速する。
テニスビジネスでは、プロ選手とのスポンサー契約や大会協賛などのブランディング投資を行う。新分野ではeスポーツビジネスへの展開を本格化するとともに、ゴルフ、テニス以外のスポーツカテゴリーへ進出する。
産業品事業の戦略では、医療用ゴム、制振ダンパーの展開を加速。医療用ゴムでは、新工場稼働による生産能力の拡大やバイオ医薬品向け高付加価値商品の展開で、メディカル/ヘルスケア領域を強化する。制振ダンパーでは振動制御やエネルギー吸収領域の多角化に合わせて製品を提供。また、少子高齢化社会や自然災害、人手不足、環境への配慮といった社会課題の解決する商品も販売し、既存事業を強化する。
新規事業の構想に関して、ゴムの開発で培った独自技術を活用し、リチウム硫黄電池の正極材活物質やがん細胞吸着キット、3Dプリンタ造形用ゴム材料の事業化を検討している。リチウム硫黄電池正極材活物質はタイヤ材料の硫黄研究を踏まえ、軽量/安全を強みに開発し、がん細胞吸着キットは同社が持つポリマーの技術やノウハウを応用して産官学連携で実用化する考えだ。
事業化に当たっては新事業への挑戦をバックアップする体制づくりや外部との協業などを通じてスピーディーに実現する。
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