AMDが第5世代の組み込み機器向けEPYCプロセッサを投入、シスコとIBMが採用:組み込み開発ニュース
AMDは、ハイエンドの組み込み機器向けプロセッサの新製品「AMD EPYC Embedded 9005シリーズ」を発表した。同社の最新アーキテクチャである「Zen 5」と「Zen 5c」を採用しており、1チップで最大192コアを集積するとともに、前世代と比べてワークロードの処理性能が最大1.6倍、電力効率が1.3倍などの性能向上を果たしている。
AMDは2025年3月11日、ハイエンドの組み込み機器向けプロセッサの新製品「AMD EPYC Embedded 9005シリーズ」を発表した。同社の最新アーキテクチャである「Zen 5」と「Zen 5c」を採用しており、1チップで最大192コアを集積するとともに、前世代の「AMD EPYC Embedded 9004シリーズ」と比べてワークロードの処理性能が最大1.6倍、電力効率が1.3倍などの性能向上を果たしている。主に、ネットワーク機器やストレージシステム、産業機器など向けに展開する。既にシスコシステムズのハイエンドファイアウォール製や、IBMのストレージシステムへの採用が決まっているという。
AMD EPYC Embedded 9005シリーズは、同社のハイエンド組み込み機器向けプロセッサとしては第5世代に当たる。
アーキテクチャはZen 5とZen 5c、製造プロセスは3/4nm、最大コア数は192、L3キャッシュの最大メモリ容量は512MB、メモリバンド幅は614GB/sなどとなっており、AMD EPYC Embedded 9004シリーズと比べて全ての面で性能向上を果たしている。
特に、主な市場と想定しているアプリケーションのデータ処理速度で大幅な性能向上を果たしている。ネットワーク機器のワークロードで従来比で1.3倍、ストレージシステムのワークロードでは同1.6倍となっている。また、Zen 5cを採用した効果により、1チップ当たりの処理性能が従来比で1.3倍、消費電力当たりの処理性能も同1.3倍に向上するという。
組み込み機器向けプロセッサは、サーバルームなど安定した環境で運用するプロセッサと比べて長いサポート期間や設計寿命、広い動作温度範囲などが求められる。AMD EPYC Embedded 9005シリーズは、最大7年間の製品製造サポートを提供するとともに、設計寿命目標も従来の5年から7年に延長することを計画している。動作温度範囲についても−5〜60℃に拡張した品種を用意した。
主な用途がネットワーク機器やストレージシステムであることから、システムの耐障害性とセキュリティを確保する機能も備えている、NTB(Non-Transparent Bridging)によって耐障害性を備えたマルチホスト構成における高可用性を強化しており、DRAM Flush機能で電源障害時にDRAM内のデータを不揮発性メモリへフラッシュすることでデータ損失を防げる。デュアルSPIによって、安全かつ独自のブートローダーをロードしてプラットフォームの認証を実行することで信頼できる実行環境を確保できる。
また、CPUソケットについてはAMD EPYC Embedded 9004シリーズと互換性のあるSP5ソケットフォームファクターを採用しているので、置き換えもスムーズに行えるとする。
AMD EPYC Embedded 9005シリーズは現在一部顧客に先行提供されており、量産出荷は2025年第2四半期に開始する予定である。
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