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大面積領域にナノメートルサイズの均一な微細加工を施す技術を開発:研究開発の最前線
東京農工大学は、大面積領域にナノメートルサイズの微細加工を施す技術を開発した。高強度のフェムト秒レーザーパルスを照射し、従来の約6倍の効率で、均一なナノ周期構造体を固体表面から直接削り出せる。
東京農工大学は2025年2月21日、大面積領域にナノメートルサイズ(nm)の微細加工を施す技術を開発したと発表した。高強度のフェムト秒レーザーパルスを照射し、固体表面から均一なナノ周期構造体を直接削り出す。
研究では、フェムト秒レーザーパルスの強度分布を正方領域で均一化し、回折光学素子によりビームを2つに分割した。2つのビームを加工面で重ねると周期1.9μmの干渉縞が発生する。これとチタン表面に2回に分けてレーザーを照射する2ステップ加工法を組み合わせることで、周期が490nmで一定かつ直線性が高いナノ構造を形成できた。
ナノ構造は一辺が53μmの正方領域全面に形成できており、レーザー照射部分の95%以上に及ぶ。開発した技術を用いると、レーザー光を照射する位置を変えるだけで加工部分を移動できるため、メートルサイズの領域にも容易に加工可能になる。
目的の機能表面を得ようとする場合、従来のガウシアンビームを用いる手法では一定周期の領域が小さく、レーザー照射部分の2割未満しか得られなかった。開発した技術では6倍の効率で機能表面を得られる。
固体表面への微細加工は、撥水性、親水性のような力学的制御機能や、光の反射、透過といった光学的制御機能を付与する技術として、自動車などさまざまな分野で注目されている。
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