クラレは2025年3月5日、銅張積層板「ベクスター FCCL」の生産を終了することを決定したと発表した。
ベクスターの販売は継続
ベクスター FCCLは、高速伝送回路や高周波電子機器に好適な高周波特性を備える液晶ポリマーフィルム「ベクスター」に銅箔をラミネートした積層体だ。
同社は、ベクスター FCCLの生産を同社の鹿島事業所(茨城県神栖市)で2019年に開始して以降、事業拡大に努めてきた。しかし、ターゲットとしていたミリ波帯の5G関連市場の立ち上がりの遅れを背景に需要が想定より伸び悩んだため厳しい事業環境が継続し、将来的にも安定的な生産を維持するための事業収益の確保が困難との判断に至った。
今後はベクスター FCCLを扱っている取引先向けに生産を継続した後、2026年6月末をめどに生産を終了する予定だ。アフターサービスについては、取引先に個別に案内する。
なお、液晶ポリマーフィルムのベクスターについては同社の西条事業所(愛媛県西条市)で生産を継続し、用途拡大をはかりながら販売を継続する。
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