横浜ゴムが凹凸路面上のゴム摩耗率と摩耗粉粒子を予測する理論モデルを構築:CAEニュース
横浜ゴムは、Bo Nils Johan Persson博士と共同で、凹凸路面上のゴム摩耗率と摩耗粉粒子のサイズ分布を予測する理論モデルを構築した。実験結果と予測が合致し、同理論を使用できることを確認した。
横浜ゴムは2025年2月20日、Bo Nils Johan Persson(ボ・ニルス・ヨハン・ペルソン)博士と共同で、凹凸路面上のゴム摩耗率と摩耗粉粒子のサイズ分布を予測する理論モデルを構築したと発表した。物理学術誌「The Journal of Chemical Physics」で、掲載論文の中で最も注目に値する研究として、表紙論文に選ばれている。
ペルソン博士は、ゴム摩擦を含む接触、摩擦、摩耗、潤滑に関する研究の第一人者だ。ドイツのペーター・グリューンベルク研究所や中国の蘭州化学物理研究所に所属し、ゴム業界をはじめとする企業を支援するコンサルタント会社も運営している。
横浜ゴムでは、ペルソン博士のマルチスケールコンサルティングと契約し、ゴムと路面の摩擦、摩耗に関する研究を共同で進めてきた。その中で、理論化が困難だった凹凸路面上のナノ(nm)〜センチ(cm)レベルでのゴム摩耗挙動の理論モデルを構築した。
さまざまな接触圧と速度で、ドライやウェット滑走下でのゴムの摩耗挙動を計測したところ、理論モデルが予測する摩耗率(単位滑走距離当たりの質量損失)と摩耗粉粒子のサイズ分布が実験結果と合致。それらの予測に同理論を使用できることを確認した。
同社は今後もペルソン博士らとともに研究を進め、高次元の耐摩耗性能を有するタイヤの開発を目指す。同時に、タイヤ摩耗による環境課題の解決に貢献していく。
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