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工場などのエネルギー運用に特化した最適制御AI、未来の稼働状況を高精度予測:製造現場向けAI技術
Sassorは、エネルギーリソース最適制御AI「ENES」を拡張し、工場や大規模施設のエネルギー運用に特化した「工場向けENES」の提供を開始した。複雑な生産スケジュールや固有の制約条件に対応できる。
Sassorは2025年2月18日、エネルギーリソースをAI(人工知能)で最適に制御する「ENES」を拡張し、工場や大規模施設のエネルギー運用に特化した「工場向けENES」の提供を開始したと発表した。
工場向けENESは、工場の複雑な生産スケジュールだけでなく、データセンターやイベント会場、病院、レジャー施設などの大規模施設における固有の制約条件に柔軟に対応できる。過去の電力使用量や発電量をAI解析することで、数日先までの稼働状況を高精度に予測してエネルギー運用を最適化する。
太陽光発電と蓄電池を一元制御し、複数市場の価格変動や需要予測に基づいて収益の最大化と電力供給の安定化を図る。また、昼間に余剰となる太陽光発電を蓄電池に蓄えて、需要のピーク時に蓄電池を放電する。これらにより、再生エネルギー比率を高めながら、基本料金や電力契約コストを削減できる。警報発令時などは、蓄電池の残量を確保して非常時に備える。
今後導入を予定している機能として、空調や冷凍設備の制御拡大、ピーク負荷を抑制するためのAIによるシフト提案、非常用発電機やバックアップ装置との制御連携強化などがある。非化石証書やカーボンクレジットへの対応も計画しており、企業の脱炭素経営やブランドイメージ向上をサポートする。
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