MEMSベース超音波トランスデューサー向け一体型デバイス、ノイズレベルは20分の1:組み込み開発ニュース
Infineon Technologiesは、MEMSベースの超音波トランスデューサー向け一体型ワンチップデバイスを発表した。精密加工した半導体ダイヤフラムを用いて超音波を送信、検出する。
Infineon Technologies(インフィニオン)は2025年1月15日(現地時間)、MEMSベースの超音波トランスデューサー向け一体型ワンチップデバイスを発表した。民生用電子機器や自動車産業、医療機器などの分野で、新たな超音波アプリケーションの開発や既存アプリケーションの改善に寄与する。
同デバイスは、静電容量型の超音波トランスデューサー「CMUT(Capacitive Micromachine Ultrasound Transducer)」技術を採用。従来の圧電バルク材料は材料自体の変形に依存するが、CMUTは精密加工した半導体ダイヤフラムの偏向を介して超音波を送信、検出する。
同社のMEMSとASICをモノリシック統合することで、従来の同等サイズの圧電セラミックに比べてノイズレベルを20分の1に低減し、絶対信号は1000倍に改善。低消費電力で、高い信号対雑音比(SNR)を可能にした。
CMUTベースのタッチボタンは、表面を変形させずにガラスや金属などの下側に配置でき、機械式ボタンに比べて摩耗リスクを軽減し、デバイス全体の寿命を延長できる。水との相溶性と高いEMC堅牢性を備え、さまざまな機器に組み込める。
液面レベルの検出が必要な家電製品においては、充填レベルの連続測定や低消費電力、容易な取り付けが可能になる。タンク底部を傷付けずに取り付けでき、接触電極を使うと腐食リスクがある洗濯機や食洗機内の化学物質などの測定に対応する。
医療分野では、バイタルサインのモニタリングや健康追跡、医療診断用のウェアラブル機器など、超音波技術を活用した機器の開発に適する。継続的なモニタリングとフィードバックが提供可能になることで、潜在的な健康問題の早期検出などに寄与する。
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