AIやクラウドの機能を拡張したシミュレーションソフトの最新版を発表:CAEニュース
Ansysは、シミュレーションソフトウェアの最新版「Ansys 2025 R1」を発表した。AIやクラウド、HPCなどの多数の機能が強化されており、より迅速な意思決定や設計に関する幅広い検討、設計期間の短縮が可能になる。
Ansysは2025年2月4日(現地時間)、シミュレーションソフトウェアの最新版「Ansys 2025 R1」を発表した。強力なデジタルエンジニアリング技術がコラボレーションを促進し、製品の市場投入を加速する。
最新版は、既存インフラと容易に統合できるデジタルエンジニアリングテクノロジーを備え、革新的な製品開発に向けたチームコラボレーションを支援する。物理ソルバーやクラウド、GPU、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)、AI(人工知能)、コネクテッドエコシステムなどの機能を強化しており、より迅速で協調的な意思決定や設計に関する幅広い検討、設計期間の短縮が可能になる。以下、強化された機能の一部を紹介する。
「Ansys 2025 R1」で強化された主な機能
物理ソルバー関連では、3Dシミュレーションソフトウェア「Ansys Discovery」の高速性、操作性はそのままに、電熱解析や直交伝導率、内部ファンを追加し、熱モデリング機能を拡張している。構造解析スイートも10倍高速の周波数応答関数(FRF)計算性能や最適化されたメッシングなどを提供する。
クラウドコンピューティング、HPC、GPUにおいては、「Ansys Fluent」のマルチGPUソルバーが、自動車の外部空力などメッシュセル数の多いアプリケーションに対応可能となり、設計精度の向上に寄与する。新製品の「CFD HPC Ultimate」は、追加のHPCライセンスなしで、複数のCPUコアかGPUを使用して1つのジョブでエンタープライズレベルのCFD(数値流体力学)機能を利用できる。
クラウド対応AIソリューション「SimAI」は、新しいデータや過去に生成したデータを使用して数分で設計を解析。独自のAIモデルを迅速にトレーニングすることで市場投入までの時間を短縮し、コスト削減に貢献する。最新版では、大規模な設計の中で特定のコンポーネントを中心に解析するなど、ポスト処理でさらなる知見を得るために学習データを拡張できるようになった。
「Ansys System Architecture Modeler(SAM)」の新機能には、「SysML v2」のサポートが含まれる。これにより、設計の最適化とチーム間の連携強化が進み、エンジニアリング組織全体が製品要件にアクセスできるようになる。
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