サステナビリティ向上のためのシミュレーション活用手法をレポートで紹介:サステナブル設計
Ansysは、製品ライフサイクルでの意思決定がサステナビリティに及ぼす影響をシミュレーションで測定、評価する方法についてのレポートを発表した。Ansysの手法を使用した企業の事例も紹介している。
Ansysは2024年12月17日(現地時間)、製品ライフサイクルでの意思決定がサステナビリティに及ぼす影響をシミュレーションで測定、評価する方法についてのレポートを発表した。
サステナビリティは、ビジネスにおいて重要な事項となっている。しかし、使用する材料や消費電力、廃棄物などについて確かなデータがない状態で、企業がサステナビリティの取り組みを推進するのは難しい。
Ansysのシミュレーションは、持続可能性にフォーカスした「クリーンな環境」「材料と循環性」「エネルギーソリューション」「製造効率と運用効率」という4つの柱を通じて、サステナビリティに取り組む企業が投資収益率を予測できるよう支援する。例えば、理想的な設計をした後で、廃棄物の発生量やカーボンフットプリントなどに関して最適化を図り、削減目標を達成できるようにする。
同レポートでは、シミュレーションがサステナビリティへの取り組みに与える良い影響を特定するための手法を、4段階で説明している。最初が「重要な指標を特定して優先順位を付ける」、次が「取り組みを評価してランク付けする」、3番目が「シミュレーションの貢献度を評価する」、最後が「影響を定量化して集計する」だ。
また、同レポートには、Danfoss Drives、Infineon、Marsといった企業における、Ansysソリューションの活用結果が記されている。調査によると、同ソリューションの利用により、複数のケースで製品ライフサイクル全体での直接、間接、下流のGHG(温室効果ガス)排出量を少なくとも10%削減している。
Danfoss Drivesでは、Ansysシミュレーションによってドライブの効率を向上させ、耐用年数のエネルギー消費を旧世代品から最大45%削減している。
Infineonでは、電気自動車インバーター設計での総電気損失の測定に役立てており、電気損失全体を50%削減、下流のGHG排出量を車両1台当たり2〜3%削減している。また、Marsは1万2000種類を超える製品パッケージの再設計にシミュレーションを活用し、2024年のプラスチックの使用量を246t(トン)削減している。
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