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金めっき膜を、研磨加工せずに原子レベルで平滑化する技術を開発:研究開発の最前線
東北大学は、金めっき膜を付加加工によって平滑化する技術を開発した。従来の研磨などの除去加工を用いることなく、原子レベルで平滑化できる。
東北大学は2025年1月28日、金(Au)めっき膜を付加加工によって平滑化する技術を開発したと発表した。従来の研磨などの除去加工を用いることなく、原子レベルの平滑化に成功した。産業技術総合研究所、関東化学との共同研究による成果だ。
開発した技術は、イオン衝撃により接合面の吸着層や酸化膜を除去する表面活性化接合と、テンプレート上に形成した金属膜を転写するテンプレートストリッピング技術を組み合わせたものだ。まず、テンプレート上にAu薄膜を形成し、表面活性化接合によりAuめっき膜の表面に接合。Au薄膜をテンプレートから剥離することで、Auめっき膜の凹凸を吸収し平滑化する。
Auめっき膜を介した接合は電子デバイスの製造プロセスに広く用いられているが、素子へのダメージを軽減するために接合プロセス温度を低く抑える必要がある。開発した技術を用いることで、ナノレベルの平滑面を得られ、常温で強固に接合できることが実証された。
同技術は、研磨による平滑化が困難な、小さな面や複雑な形状にも適用できる。
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