小さな子どもの安全をガッチリ守る「安全ロック」の仕組み:100円均一でモノの仕組みを考える(8)(3/3 ページ)
本連載「100円均一でモノの仕組みを考える」では、実際に100円均一ショップで販売されている商品を分解、観察して、その仕組みや構造を理解し、製品開発の過程を考察します。連載第8回のお題は、子ども用の「安全ロック」です。
(3)フタで固定するタイプ
最後の3つ目は、固定プレートがケースのようになっており、フタを開いてブリッジを外すタイプです(図4下段)。“フタを開くだけ”という非常に単純な構造をしているため、簡単にロックを解除できそうですが、フタと本体はツメで固定されており、ツメの抵抗によって簡単には開けられない構造となっています。実際にロックを解除してみましたが、指でフタを開けるのはかなり大変で、コインなどを挟み込んでこじ開ける必要がありました。
今回のまとめ
以上のように、それぞれ異なる機構を採用する安全ロックですが、共通していえるのは、
- 簡単にロックを解除できない
- 金属製のばねやネジを使用していない
ことです。
“簡単にロックを解除できない”のは、幼児や小さな子どもが簡単に外せないようにするためなので、当然といえば当然です。一方、“金属製のばねやネジを使用していない”のは、コスト削減の面もあるとは思いますが、万が一バラバラに壊れてしまったときに、誤飲などの事故を防ぐ(避ける)といった意味合いも含まれていると考えます。
特に今回取り上げた安全ロックのように、幼児/子ども向け製品の場合は、二次的な事故にも十分に配慮して設計開発する必要があります。それは、安価な100円均一ショップの商品であっても同様です。 (次回へ続く)
著者プロフィール:
落合 孝明(おちあい たかあき)
1973年生まれ。株式会社モールドテック 代表取締役(2代目)。『作りたい』を『作れる』にする設計屋としてデザインと設計を軸に、アイデアや現品に基づくデータ製作から製造手配まで、製品開発全体のディレクションを行っている。文房具好きが高じて立ち上げた町工場参加型プロダクトブランド『factionery』では「第27回 日本文具大賞 機能部門 優秀賞」を受賞している。
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