「三菱電機っぽくない」共創空間 事業変革目指すためのスペースが横浜で完成:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
三菱電機はフルオープンした共創空間「Serendie Street Yokohama」の完成披露会を開催した。
「三菱電機初」の部署横断で共に働く空間
三菱電機は、顧客のデータ分析を通じた課題発見、解決と、それらを基にした新たな価値提供のサイクルを実現する「循環型 デジタル・エンジニアリング企業」への変革を目指している。ただ、三菱電機 常務執行役 CDO(最高デジタル責任者)の武田聡氏は、「そうはいっても、当社の主力事業は依然としてプロダクトだ。顧客課題に踏み込んだソリューションやサービスを提供できるようにしていきたいが、開発体制などを含めて既存の事業モデルを変えていくことは簡単ではない」と課題感について語る。
そこで同社はDXイノベーションセンターを2023年4月に設立し、Serendie Street YDBなどで、顧客中心かつサービス型の事業創出やアジャイル開発体制の構築を目指し、人材育成やマインドセット変革などの施策展開を進めてきた。部署横断でさまざまな人材が集まり、同じ場所で仕事をするのは「三菱電機では初めて」(武田氏)の試みだという。
2025年1月14日にはAWSとのデジタル領域での戦略的協業に向けた基本合意書(MoU)を締結した。Serendieによるデータ利活用ソリューションのさらなる強化を目指し、Serendie Street YokohamaではSerenieに組み込むAI(人工知能)基盤の共同開発や、AWSが提供する教育プログラムを活用したDX人材の育成やカルチャー/マインドセット改革に取り組むとしている。
こうした活動に加えて、Serendie Street Yokohamaでは生成AIを活用した業務効率化や開発リードタイムの短縮を目指すプロジェクトも進める。現在、三菱電機では60個の社内プロジェクトが立ち上がっており、それらの成果をSerendieの関連事業に展開していく計画だ。
武田氏はSerendie Street Yokohamaについて、「私が言うのも変な話だが、三菱電機っぽくないオフィス空間だ。そこでの働き方もだいぶ変化している。従来型の統率の取れた長期間のプロジェクトを運営するのではなく、素早く結果を出して修正し完成に近づけていく」と語った。
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