ガラスリボン導光板を活用し大規模な光学機器が不要な光シート顕微鏡光源を開発:研究開発の最前線
日本電気硝子は、東京大学大学院理学系研究科付属フォトンサイエンス研究機構や同大学大学院工学系研究科付属光量子科学研究センター、ミユキ技研、フォトンテックイノベーションズなどと共同で、光シート顕微鏡光源「HandySPIM」を開発した。
日本電気硝子は2025年1月29日、東京大学大学院理学系研究科付属フォトンサイエンス研究機構、同大学大学院工学系研究科付属光量子科学研究センター、ミユキ技研、フォトンテックイノベーションズと共同で、日本電気硝子のガラスリボンを用いて、光シート顕微鏡光源「HandySPIM」を開発したと発表した。
今後は、HandySPIMとガラスリボン導光板は2024年8月に試作販売を開始し、2025年内に製品化/発売を行う予定だ。
HandySPIMの特徴
光シート顕微鏡とは、サンプル(検体)の側面から薄いシート状に整形した光を当てることで、断面画像を得る選択的平面照明顕微鏡法(Selective Plane Illumination Microscopy:SPIM)を利用した顕微鏡で、病理/バイオサイエンスなどで使用される光学機器だ。
従来の光シート顕微鏡ではレーザー光をレンズやミラーで光シート化する構造上、大規模な光学機器が必要だった。そのため、光学系の調整に専門知識を要する他、導入や維持に高額なコストがかかる点が課題となっていた。
HandySPIMは、一般的な顕微鏡のステージに設置することで、透明化生体組織の画像を得ることができる。さらに、日本電気硝子が開発したガラスリボン導光板が組み込まれており、ガラスリボンの薄く均一な厚みが、レンズやミラー無しで高強度のシート状の光を創出することに貢献する。HandySPIMの光源には低コストなLED光を用いている。
ガラスリボンの特徴
ガラスリボンは日本電気硝子が開発した薄板ガラスの1種で、厚さ4〜50μm、幅0.5〜30mmのガラスとなっており、薄く均一な厚みを有している。HandySPIMで導光板の役割を担う。
導光板は、ガラスリボンを日本電気硝子の可視光吸収ガラスでサンドイッチした構造になっている。厚み20μm、幅20mm、長さ10mmのガラスリボンの端面にLED光を結合させることで、導光板の対向端面から光シートが出射される。光シートの厚さは約20μmでガラスリボンの厚みとほぼ同等だ。この手法で得られた画像は、従来の高価な画像取得装置を使って得られる画像と比較しても遜色ない。
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