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水泡性角膜症に対するヒトiPS細胞由来細胞移植の安全性と有効性を確認:医療技術ニュース
慶應義塾大学は、水泡性角膜症に対しヒトiPS細胞由来の角膜内皮代替細胞を移植する臨床研究を世界で初めて実施した。移植後52週時点で、安全性と視力および角膜厚の臨床的改善が認められた。
慶應義塾大学は2025年1月14日、水泡性角膜症に対しヒトiPS細胞由来の角膜内皮代替細胞を移植する臨床研究を世界で初めて実施したと発表した。移植後52週時点で、安全性と視力および角膜厚の臨床的改善が認められた。
水泡性角膜症は、角膜に房水が入り込むことで角膜全体が浮腫状となり白く濁って視力が低下する難治性疾患だ。
今回の臨床研究は、iPS細胞由来の角膜内皮代替細胞を眼前房内に移植する新たな治療法の安全性評価を主な目的としており、副次的に有効性についても評価した。
臨床研究は第一種再生医療等提供計画として実施。移植細胞は、京都大学iPS細胞研究財団(CiRA_F)で作製した「再生医療用iPS細胞ストック」を、慶應義塾大学病院細胞培養加工施設(KHCPC)で角膜内皮代替細胞に分化させて使用した。
2022年10月に角膜移植後の水泡性角膜症再発例1例に細胞移植し、移植後52週を評価期間とした。移植後52週において、腫瘍化や強い炎症反応などの安全上の懸念は認められず、視力および角膜厚の臨床的改善が認められた。
研究グループは、今後も有効性と安全性について慎重に検討を続けるとしている。
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