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従来比10倍の物性画像取得速度に対応した走査型プローブ顕微鏡の汎用モデル:研究開発の最前線
島津製作所は、走査型プローブ顕微鏡の汎用モデル「SPM-9700HT Plus」を発表した。オプションの専用ソフトウェア「ナノ3DマッピングFast」により、従来機種では6時間ほど要していた物性マッピング時間を30分以下に短縮した。
島津製作所は2025年1月14日、走査型プローブ顕微鏡(SPM)の汎用モデル「SPM-9700HT Plus」を発表した。価格は1650万円(税別)からで、2025年度に国内外合わせて30台の販売を目指す。
SPMは、原子間力顕微鏡(AFM)とも呼ばれ、先端が10nm程度のプローブを用いて、試料とプローブ間の力学的、電磁気的な相互作用力を検出しつつ走査する。大気や溶液中でも試料表面の三次元形状や物性情報を取得できる。
新製品は、制御系と駆動部の改良により、物性画像取得速度を同社従来機種の10倍に高速化。オプションの専用ソフトウェア「ナノ3DマッピングFast」により、従来機種では6時間ほど要していた物性マッピング時間を30分以下に短縮した。
試料交換ごとの再調整を不要にした「ヘッドスライドメカニズム」や消耗品を簡単に交換できる「カンチレバーマスター」など、従来機種のユーザビリティはそのまま継承している。これらに加え、観察条件(パラメーター)を自動で設定する「NanoAssist」機能を新たに搭載。操作に不慣れなユーザーでも、観察範囲を指定するだけで安定的に画像を取得できる。
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