使用済みタイヤなどからカーボンブラックを生成する共同プロジェクトを開始:リサイクルニュース
東海カーボン、ブリヂストン、九州大学、岡山大学は、使用済みタイヤなどから新品カーボンブラック並みのゴム補強性を持つカーボンブラックを生成する共同プロジェクトを開始した。
東海カーボン、ブリヂストン、九州大学、岡山大学は2025年1月28日、使用済みタイヤなどのゴムを含む高分子製品から取り出された再生カーボンブラック(recovered Carbon Black、rCB)を二次処理し、石油/石炭由来の新品カーボンブラック(virgin Carbon Black、vCB)に相当するゴム補強性を持つカーボンブラック(eco Carbon Black、eCB)を生成するための技術開発プロジェクトを開始したと発表した。
eCBを年間5000トンt生産する実証プラントの稼働を目標に
同プロジェクトは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業/CO2などを用いたプラスチック原料製造技術開発(追加公募)」に2024年12月23日に採択された実証事業「使用済みタイヤを含む高分子製品からのカーボン再利用技術の開発(提案者:東海カーボン、委託パートナー:ブリヂストン、九州大学、岡山大学)」の一環として実施する。
既に、使用済みタイヤなどのゴムを含む高分子製品を熱分解し、rCBを回収、再利用する取り組みは行われているが、rCBには多くの不純物が含まれていることなどから、タイヤへの活用には、vCBと比較してゴム補強性の面で課題を抱えている。
また、使用済みタイヤの多くはサーマルリカバリー(熱回収)により燃料として有効利用されているが、その際にCO2が排出される。
今回のプロジェクトでは、自動車/交通需要の増加に伴い、タイヤの需要が今後も伸長していく環境下において、その原材料であるvCBのリサイクルを可能とすることで資源循環の向上を目指す。
このプロジェクトでは、東海カーボンがカーボンブラック製造を通じ培ってきた技術/ノウハウと、ブリヂストン、九州大学、岡山大学が持つそれぞれの知見や技術を融合させることで、rCB内の不純物などを除去し高いゴム補強性を持つeCBを生成する技術開発に取り組む。
2032年度までにeCBを年間5000トン(t)生産する実証プラントの稼働を目指す。さらに、使用済みタイヤを熱分解せずにカーボンブラックの再利用を可能とする特殊ポリマー/特殊カーボン複合体の開発にも取り組む。これらの取り組みを通じて、限りある資源の高度なリサイクルの実現を目指すとともに、カーボンブラックの生産や使用済みタイヤの処理に伴うCO2排出量の削減にも貢献する。
各組織の役割
東海カーボンはrCBをeCBに二次処理するための技術開発および設備開発を、ブリヂストンはeCBを使用したゴムの物性評価とタイヤ実用性評価を担う。九州大学はeCBの表面状態観測と評価、ゴム補強メカニズムの解明を、岡山大学は特殊ポリマー/特殊カーボン複合体開発を担当する。
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