ストラタシスがNASCARとの協力関係を強化 公式3Dプリンティングパートナーに:3Dプリンタニュース
ストラタシスは、米国のモータースポーツ団体NASCARとの長期的技術提携を拡大し、公式3Dプリンティングパートナーに就任した。今後NASCARは部品やツールの設計および製造に、ストラタシスの3Dプリント造形技術を独占的に使用することとなる。
Stratasys(ストラタシス)は2025年1月22日、米国のモータースポーツ団体であるNASCAR(National Association for Stock Car Auto Racing)との長期的技術提携を拡大し、公式3Dプリンティングパートナーに就任したことを発表した(現地発表は2024年12月4日)。これにより、今後NASCARは部品やツールの設計および製造に、ストラタシスの3Dプリント造形技術を独占的に使用することとなる。
さらに、今回のパートナーシップの強化に伴い、米国ノースカロライナ州コンコードにあるNASCAR研究開発センターにおいて、最新鋭の3Dプリンティング研究所が開設される予定だという。
同センターには、プロフェッショナル向けFDM(熱溶解積層法)方式3Dプリンタ「F370」「Fortus 450mc」「F900」や、SLA(光造形)方式3Dプリンタ「Neo800」といった複数のストラタシス製3Dプリンタが導入され、NASCARが手掛ける3つのナショナルシリーズ(NASCAR Cup Series、NASCAR Xfinity Series、NASCAR CRAFTSMAN Truck Series)における研究開発、カスタム部品のオンデマンド製造、ツーリングなどを支援し、設計と製造の俊敏性、柔軟性をもたらす。
NASCARのエンジニアはストラタシスとの協力を進めており、NASCAR Cup Seriesにおいて、現在サーキットを走る全車両に3Dプリント造形部品が使用されているという。
具体的には、SAF(Selective Absorption Fusion)テクノロジーを採用したストラタシス製のPBF(粉末床溶融結合法)方式3Dプリンタ「H350」と100%バイオ由来の材料Nylon11(PA11)を用いて、冷気吸入口(フロントガラスの中央上部に設置して車内に空気を送り込む)を造形したり、NASCAR研究開発センターに設置のストラタシス製FDM方式3Dプリンタと難燃性の高性能熱可塑性樹脂材料ULTEM 9085を使用し、エンジンパネル下部のNACAダクトを造形したりしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 樹脂と金属のハイブリッド構造で課題を克服、人機一体による3Dプリンタ実践活用
ストラタシス・ジャパン主催「ストラタシス・デー」の事例講演に登壇した人機一体 知財開発部の野村方哉氏による講演「樹脂FDM方式を用いた3Dプリント部品と金属のハイブリッド構造を有する人型重機の開発」の模様をダイジェストで紹介する。 - 最終用途部品など、AM用途の可能性を広げる3Dプリンタの新材料6種を発表
Stratasysは、「Origin One」プリンタ用の新しいP3材料4種と「F900」用のKimya PC-FR、FDM HIPS検証済み材料2種を発表した。新材料により、最終用途生産や製造グレード試作への取り組みを強化する。 - クリモトが量産要求にも対応可能なPBF方式3Dプリンタを導入、日本初本格稼働へ
ストラタシス・ジャパンは、同社の販売代理店であるクリモトが今後の試作ビジネスおよび量産用途向け事業の拡大を見据え、量産用途向け粉末床溶融結合(PBF)方式3Dプリンタ「Stratasys H350」を導入し、本格稼働を開始したことを発表した。 - ストラタシスが産業向け製品ポートフォリオ強化、新たに3Dプリンタ3機種を発表
ストラタシス・ジャパンは、産業用途向け3Dプリンタの製品ポートフォリオを拡充し、新たにDLP方式を採用する光造形3Dプリンタ「Stratasys Origin One」、大型パーツ造形を低コストで実現するFDM方式3Dプリンタ「Stratasys F770」、量産向けSAFテクノロジーを搭載する粉末床溶融結合方式3Dプリンタ「Stratasys H350」の3機種を発表した。 - 日野のコンセプト「FlatFormer」のエアレスタイヤ製作を支えた3Dプリント技術
日野自動車が「第46回東京モーターショー2019」に参考出品したモビリティコンセプト「FlatFormer」のエアレスタイヤのモデル製作に、ストラタシスの産業用3Dプリンタ「Stratasys F900」が採用された。 - いまさら聞けない 3Dプリンタの選定基準
3Dプリンタや3Dスキャナ、3D CADやCGツールなど、より手軽に安価に利用できるようになってきたデジタルファブリケーション技術に着目し、本格的な設計業務の中で、これらをどのように活用すべきかを提示する連載。第3回は、3Dプリンタの特長や造形方式による違いなどに触れつつ、導入時に検討すべき「3Dプリンタの選定基準」について解説する。