ペロブスカイト半導体の界面構造制御法を開発、官能基の作用を解明:研究開発の最前線
京都大学は、スズと鉛を1:1で用いたペロブスカイト半導体の界面構造制御法を開発した。半導体の品質と均質性を向上し、4接合型のペロブスカイトタンデム型デバイスの作製にも成功している。
京都大学は2024年12月24日、Sn(スズ)とPb(鉛)を1:1で用いたペロブスカイト半導体(Cs0.1FA0.8MA0.3Sn0.5Pb0.5I3)の界面構造制御法を開発したと発表した。オックスフォード大学、分子科学研究所、理化学研究所との共同研究による成果だ。
研究グループは、アンモニウム基とカルボキシル基のどちらか、または両方を含む添加剤を用い、それぞれの官能基とSn-Pb系ペロブスカイト半導体の構成イオンとの相互作用を検証した。その結果、カルボン酸基が溶液のコロイド特性と膜の結晶化を制御し、アンモニウム基は膜の光電変換特性を改善することが判明した。これらの官能基は、別々の分子の一部として導入するよりも、同じ分子内に組み合わせると半導体の品質と均質性を向上できる。
2つの官能基を含んだL-フェニルアラニン塩酸塩(PhA)を添加剤にしたSn-Pb系ペロブスカイト層で単接合セル、2接合型タンデムセル、3接合型タンデムセルを作製したところ、それぞれ0.91V、2.22V、3.46Vの開放電圧が得られ、23.9%、29.7%(認証値29.26%)、28.7%の光電変換効率を達成した。また、4接合型のオールペロブスカイトタンデム型デバイスの作製にも成功しており、開放電圧は4.94V、27.9%の光電変換効率を得られた。
近赤外領域の光を光電変換できるSn-Pb系ペロブスカイト半導体は、タンデム型太陽電池のボトムセルとして注目されている。しかし、Snは酸化しやすく、前駆体溶液の化学的性質や膜特性への影響も解明が進んでいなかった。
今後、京大発ベンチャーのエネコートテクノロジーズに技術移転し、高性能のペロブスカイト太陽電池の実用化に向けた開発研究を進める予定だ。
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