「AFEELA 1はビジネスよりも見せたいものを優先した」ソニー・ホンダ川西社長:CES 2025(2/2 ページ)
ソニー・ホンダモビリティ 代表取締役 社長 兼 COOの川西泉氏がCES 2025会場でMONOistなど報道陣の合同取材に応じ、最初のモデルとして発表した「AFEELA 1」に込めた思いや、今後の方向性について考えを述べた。
クルマ作りは家電製品とは次元の違う難しさ
―― 価格帯がどうしても高く見えますが、その点についてはどう考えますか。
川西氏 米国と日本ではどうしても認識の違いは出てくるが、価格的には高い部類に入ることは理解している。それに対する価値を提供していくつもりだ。従来のクルマが提供してきた移動の手段に必要な運動性能や走行性能とは違う新しい軸を作るため、ある程度は自分たちの思うものはできた。クルマのインテリジェンスを高めていきたい。
―― 初めてのクルマ作りに取り組む中で発見はありましたか。
川西氏 当初ソニーとして自分たちだけで開発を進めようとした中で感じたのは、クルマを一定のクオリティーで量産する難しさだ。コンシューマーエレクトロニクス製品とは次元の違う難しさがある。これをパートナーなしに行うのは無理があった。ホンダとのパートナーシップで安心して進められるようになった。シャシーはホンダの車種との流用性も考慮して開発をしている。生産も今回はホンダの北米工場で量産するがサポートがあるので安心している。
―― 自動運転の計画についてはどう考えていますか。
川西氏 今は自動運転レベル2+までしかできない。一般消費者向けのクルマとしてはレベル4や5はハードルが高い。現実的により多くの人が体験してもらえるレベルとしては2+が妥当だと考えた。レベル3になると適応する条件下でないとだめで、体験する場を探しに行く必要があり、それはやりたくなかった。われわれの強みであるADAS(先進運転支援システム)をより広く体験してもらい、受け入れてもらうためにはレベル2+しかなかった。
より多くの人に使ってもらって、醸成していく必要がある。今は市場がないために慣れていって世界を広げていく必要がある。今あるものが完璧ではなく、消費者もメーカーも慣れていく必要がある。
―― 日本での展開は予定通りでしょうか。
川西氏 おおよそ米国の半年遅れくらいで展開するイメージだ。米国では2025年内の販売開始で納車は2026年中旬からとなる。日本は2026年末に納車が始まる形でタイムラグがある。今回、米国での販売に当たってさまざまな体制も発表したが、市場を整備ししっかり立ち上げていきたい。日本での具体的な取り組みは後日あらためて発表する。
新しい技術の体験の場としての自動車ブランドに
―― 今後のモデル展開についてはどう考えていますか。
川西氏 ストレートには答えられないが、マーケティングやビジネスの観点からある程度のラインアップは作る必要があると考えている。ただ、それよりもサービスやアプリケーションの拡充の方が重要だと考えている。ハードのモノ売りに注力するのではなく、人の生活に貢献するようなソフトウェア領域を強化していく。SDV(Software Defined Vehicle)として、長く使ってもらいながら価値を高めていくようなクルマ作りを進めていく。そこはわれわれの知見で勝負できるところだと考えている。
―― 「AFEELA」をどういうブランドに育てていくつもりですか。
川西氏 クルマのブランドを見ると数十年にもわたる非常に長い時間をかけて作り上げてきたことが分かる。そのくらいの時間をかけるつもりはないが、長期的なスタンスでビジネスに取り組んでいきたい。短期的な目新しさで勝負するつもりはない。新しい技術をより多くの人に体験してもらえるようなブランドにしていきたい。
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