パロマ・リームが富士通ゼネラルを買収、売上高1.2兆円超の空調/給湯機器大手に:製造マネジメントニュース
パロマ・リームホールディングス(パロマ・リーム)は、富士通ゼネラルの買収を目指し、同社の普通株式を公開買い付けで取得することを決定した。パロマ・リームによる富士通ゼネラルの買収により、売上高1兆2000億円超の空調/給湯機器の国内大手企業が誕生する。
パロマ・リームホールディングス(以下、パロマ・リーム)は2025年1月6日、国内空調大手である富士通ゼネラルの買収を目指し、同社の普通株式を公開買い付けで取得することを決定したと発表した。国内外の関係当局の手続きを進めた後、同年7月上旬をめどに公開買い付けを開始する。パロマ・リームによる富士通ゼネラルの買収により、売上高1兆2000億円超の空調/給湯機器の国内大手企業が誕生する。
パロマ・リーム、富士通ゼネラル、富士通の3社は、富士通ゼネラルの普通株式の公開買い付け価格について1株当たり2808円に設定した。これは2024年12月30日の富士通ゼネラル株価の終値に20.67%のプレミアムを付けた価格となっている。買い付け予定数の下限は同社株式の22.64%で上限は設けていない。公開買い付け終了後に、同社の最大株主である富士通が保有する44.02%の株式を譲り受ける契約を締結しており、その後スクイーズアウト(少数株主の排除)を実施して全株式を買収し富士通ゼネラルを完全子会社とする方針である。
今回の公開買い付け価格で、富士通と富士通ゼネラルが保有する以外の普通株式(55.98%)を全て買い付けた場合の金額は約1646億円となる。公開買い付け終了後、富士通はパロマ・リームに保有する全ての富士通ゼネラル普通株式を1株当たり1995円の自己株式取得価格で譲渡する。この譲渡金額は約920億円となり、パロマ・リームによる富士通ゼネラルの買収金額は2566億円に上ることになる。
パロマ・リームは、国内ガス器具大手であるパロマの持ち株会社であり、パロマが1988年に買収した北米の空調機器大手のリーム(Rheem Manufacturing Company)を傘下に置いている。2023年度連結業績は、売上高9046億円、営業利益1070億円。地域別の売上高比率は、日本7.9%、北米・中南米80.4%、オセアニア5.6%、欧州4.7%などとなっており、米州の比率が極めて高い。製品別の売上高比率は、空調機器が48.2%、ガス器具などの温水機器が47.7%と拮抗している。
一方、富士通ゼネラルの2023年度連結業績は、売上高3165億円、営業利益57億円。地域別の売上高比率は、日本が18%、米州14%、欧州25%、中東・アフリカ8%、オセアニア13%、アジア17%、中華圏5%などとなっており、海外の各地域にバランス良く展開している。製品別の売上高比率は89%が空調機器であり、その他に情報通信システムや電子デバイスを手掛けているものの、ほぼ空調機器専業となっている。なお、富士通ゼネラルとリームは2016年から、北米における空調機器事業で相互製品供給や共同開発を含む協業関係がある。
パロマ・リームは、富士通ゼネラルを傘下に収めることで相互補完的な協業によるさらなる成長を目指す。両社が長年にわたり構築してきた販売基盤やサービス網を相互に活用して顧客のニーズに包括的に応える体制を作り、国内外の市場で空調ソリューション事業を一段と優位に展開する狙いがある。特に地域別では、パロマ・リームの展開が手薄だった米州以外の地域を富士通ゼネラルのネットワークによって補完でき、富士通ゼネラルも北米での販路拡充が期待できる。また、パロマ・リームは日本発のモノづくりや研究基盤をグローバルに展開していくことを経営戦略の核として位置付けており、富士通ゼネラルが推進する日本国内における技術開発の強化にもつながるという。
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