人間拡張技術で社会課題の解決を目指す、産官学連携のコンソーシアムを設立:ウェアラブルニュース
8社の企業と4人の学術専門家が設立した、人間拡張コンソーシアムが活動を開始した。人間拡張技術によって教育格差や労働人口の減少などの社会課題を解決すべく、さまざまな分野の企業が産官学連携で取り組む。
人間拡張コンソーシアムは2024年12月17日、8社の企業と4人の学術専門家が設立した同コンソーシアムが活動を開始したと発表した。
人間拡張技術とは、ネットワークを通じて人間の感覚や動作を拡張する技術で、教育格差や伝統文化の衰退、労働人口の減少といった社会課題の解決に役立つと期待されている。
同コンソーシアムは、内閣府が主導する「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の第3期となる「バーチャルエコノミー拡大に向けた基盤技術・ルールの整備」の一環として発足した。人間拡張技術による社会課題の解決に、さまざまな分野の企業が業界を越えて産官学連携で取り組むことを目的とする。
設立に関わった企業と学術専門家が連携し、人間拡張技術を構成するアプリケーション、デバイス、プラットフォームについて実証や接続性を検証する。今後は、海外を含めたさまざまな業界の企業や学術専門家の会員を募り、関係者間の連携を進めていく。
参画企業は、H2L、NTTドコモ、ソニーコンピュータサイエンス研究所、TOPPAN、トヨタ自動車 未来創生センター、本田技術研究所、ミズノ、三菱総合研究所の8社だ。
人間拡張技術を活用すると、例えばスポーツや楽器演奏の指導において、ウェアラブルデバイスを通じて、指導者の筋肉や関節の動きを生徒が自身の身体で直接体験し学ぶことができる。指導効果を高められるほか、地域を問わず優れた指導者の指導を受けられるため、教育格差の解消が期待される。
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