キーワードは「拡張」、“第3の腕”や“新たな歩行感覚”を作る未来型ロボット研究施設:ロボット開発ニュース(1/2 ページ)
パナソニックは2019年1月25日、生活を豊かにする新たなロボット開発を促進するオープンイノベーション施設「Robotics Hub」を設立し、「自己拡張(Augmentation)」をキーワードに、企業間連携や産学連携などを進めることを発表した。
パナソニックは2019年1月25日、生活を豊かにする新たなロボット開発を促進するオープンイノベーション施設「Robotics Hub(ロボティクスハブ)」を設立し、「自己拡張(Augmentation)」をキーワードに、企業間連携や産学連携などを進めることを発表した。具体的には6つの大学との連携による共同研究を進め、サービスロボットなど次世代ロボットの早期実用化を目指す。
開発のサイクルを高速化するプラットフォーム
パナソニックでは、ロボット領域を「技術10年ビジョン」で重点分野と定めており取り組みを進めている。「人に寄り添うロボティクス」を目指し、これまでもモノづくりや家電、サービス、物流、介護、医療、農林水産、インフラ点検などのさまざまな領域で製品展開を進めてきた。
ただ、用途が明確であれば開発も負担なく進むが、数多くの社会課題をロボットで解決することを目指す中では「求めるサービスがどういうもので、そのためにロボットをどう動かすのかということも全く分からない手探りでの開発を進めなければならない」とパナソニック 執行役員 生産革新担当兼マニュファクチャリングイノベーション本部長 小川立夫氏は述べる。
パナソニックが以前から取り組んできた産業機械などは知見があるが、家に入る新たな形のロボットは誰もノウハウを持っていない領域である。その中で「どうやって新しい形のロボットを開発すべきか」が課題となっていた。
この中で重要になるのが、開発サイクルの高速化である。正解が見えない中での製品開発はどうしても失敗が多くなる。そこで早期に市場に出し、小さな失敗や不具合を素早く修正して製品のアップデートを進めていくことが重要になる。「市場ニーズの掘り起こしから実証、商品化までの一連のサイクルを高速化し、いかにうまく回すかが重要となる。そこで共創の場として新たに設立したのがロボティクスハブである」と小川氏は設立の意図について語る。
ロボティクスハブは産官学の共創の場として活用する他、この場で得られた知見や要素技術を蓄積し「ロボティクス技術プラットフォーム」としてプラットフォーム化する計画である。「プラットフォームの資産を蓄積することで、ロボット開発の短期化や早期の事業化に役立てる。国際規格認証などにもつなげていく」と小川氏は語っている。
ロボティクスハブは東京と大阪に2拠点を設立。大阪拠点は、近くに技術部門なども数多く存在するため、メカトロニクス要素開発や社内交流などを推進。東京拠点は、顧客との接点強化や産学連携などを行う。移動ロボットの開発評価などを行える移動ロボット評価エリアなども用意している。
既に連携する大学としては、東北大学、千葉工業大学、東京大学、早稲田大学、立命館大学、奈良先端科学技術大学院大学などが挙がっているが「現在話をしているところもあり、今後も増える見込みだ」(小川氏)としている。さらに企業連携などもデバイスメーカーなどと話をしているという。
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