「混流」と「自動化」で冷蔵庫の生産効率を3割向上、リサイクルにも技術を反映:日立GLS栃木事業所レポート(後編)(4/4 ページ)
日立グロバールライフソリューションズ(日立GLS)が栃木事業所内にある冷蔵庫生産ラインと、同社傘下で家電リサイクル事業を担う関東エコリサイクルのリサイクル工場を報道陣に公開。後編では、栃木事業所の冷蔵庫生産ラインや安全体感センター、関東エコリサイクルのリサイクル工場の取り組みについて紹介する。
栃木事業所の冷蔵庫生産ラインのノウハウをリサイクル技術に還元
栃木事業所で生産されている冷蔵庫は家電リサイクル制度によって、リサイクルが義務化されている製品である。同事業所における家電生産のノウハウを生かして1999年5月に設立されたのが関東エコリサイクルである。日立GLSの他、リサイクルされる家電製品を手掛ける三菱電機、ソニー、シャープ、富士通ゼネラルなども出資している。
操業開始は家電リサイクル法が施行された2001年4月。家電リサイクルの処理能力は1日506トンで、従業員は約200人。国内における家電リサイクルはAとBの2グループ体制で運営されており処理施設は全国18カ所ある。関東エコリサイクルはBグループに所属しており、北関東から新潟県、福島県、長野県北部の29カ所の指定取引場所をカバーしている。
リサイクルする廃家電の処理工程は、構成部品に分解する手解体工程となる前処理と、破砕機や粉砕機、選別機などの大型装置を使って金属や樹脂など再利用可能な原材料に変えていく後処理に分かれている。
家電リサイクルの処理工程では、新たに家電に採用される材料などへの対応が重要になってくる。例えば、家電リサイクル法の施行時はブラウン管式が当たり前だったテレビは、現在では液晶パネルや有機ELパネルを用いる薄型テレビに移行している。製品としては販売されていないブラウン管式テレビだが、現在も廃家電として家電リサイクルには出されるため薄型テレビと併せて対応する必要がある。
日立GLSの栃木事業所が手掛ける冷蔵庫でも、ハイエンドモデルを中心にドア部分にガラスを採用した製品の比率が高まっているという市場の変化があった。そこで、日立GLSと日立製作所は共同で冷蔵庫のドア部分からガラス板を自動で分離するシステムを2021年11月に開発した。同システムは栃木事業所内にある関東エコリサイクルにも導入されており、現在も設備としての効率的な運用を目指した改良などが進められている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 冷蔵庫を作り続けて80年、日立GLS栃木事業所の現在地
日立グローバルライフソリューションズ(日立GLS)が栃木事業所内にある冷蔵庫生産ラインと、同社傘下で家電リサイクル事業を担う関東エコリサイクルのリサイクル工場を報道陣に公開。前編では栃木事業所における冷蔵庫やエコキュートの生産の全体像を紹介する。 - 設計から見直し家電に再生プラを積極採用、日立GLSのサステナブル経営戦略
日立GLSはサステナブル経営の説明会を開催した。本稿では、サステナブル経営のうち、環境についての取り組みについて紹介する。 - エアコンの国内生産回帰を半年で実現、日立の「白くまくん」が目指す地産地消
日立ジョンソンコントロールズ空調は、栃木事業所において、同社の日立ルームエアコン「白くまくん」の主力製品「スリムモデル」の出荷式を行うとともに、同事業所内に新設したスリムモデルの生産ラインを報道陣に公開した。 - 日立ジョンソンコントロールズ空調が栃木事業所を公開、国内生産への回帰も
日立ジョンソンコントロールズ空調が、同社が展開する日立ルームエアコン「白くまくん」のフラグシップモデル「プレミアムXシリーズ」の出荷式を行うとともに、プレミアムXシリーズを製造する栃木事業所を報道陣に公開した。今後は、同事業所を活用した国内生産を増やしていくことになるという。 - 日立スクロール圧縮機が実用化40周年、開発者が短期間で製品化できたワケを語る
日立ジョンソンコントロールズ空調は、日立スクロール圧縮機が実用化40周年を迎えたことを発表した。日立スクロール圧縮機は、世界で初めて実用化された空調用のスクロール圧縮機で、現在も改良が施され、同社の空調製品に搭載されている。 - 受け継ぐ伝統と技術、日立ジョンソンコントロールズ空調清水事業所が80周年
日立ジョンソンコントロールズ空調は清水事業所の創立80周年記念式典を開催し、同事業所内の工場を報道陣に公開した。