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作りたい製品をODMメーカーに伝える製品仕様書の書き方ODMを活用した製品化で失敗しないためには(6)(2/3 ページ)

社内に設計者がいないスタートアップや部品メーカーなどがオリジナル製品の製品化を目指す際、ODM(設計製造委託)を行うケースがみられる。だが、製造業の仕組みを理解していないと、ODMを活用した製品化はうまくいかない。連載「ODMを活用した製品化で失敗しないためには」では、ODMによる製品化のポイントを詳しく解説する。第6回のテーマは「製品仕様書の書き方」についてだ。

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製品仕様書の内容

 製品仕様書の内容を、ボールペンを例にとって説明する。主な内容(項目)は以下の通りだ。

  1. 機能
  2. 部品構成
  3. 大まかな寸法
  4. 材料
  5. 実施する品質試験
  6. 適応規格
  7. 取得安全規格(主に電気製品の場合)

 「機能」に関しては、次が挙げられる。

  • ノック式
  • インク交換式(リフィルあり)
  • クリップ付き

 「部品構成」と「大まかな寸法」は、図2のように図示するとよい。「材料」は主に樹脂、板金、金属があり、部品の機能(耐熱性、高強度など)、目標部品コスト、生産数、意匠デザインで決まる。スタートアップ側で決められなければ、製品仕様書(案)には記載せずにODMメーカーと相談して決める。

部品構成と大まかな寸法
図2 部品構成と大まかな寸法[クリックで拡大]

 「実施する品質試験」は、先の「機能」に関連して次の3つが挙げられる。

  • ノック強度試験:
    どのくらいの強さでノックしても壊れないか
  • ノック耐久試験:
    どのくらいの回数をノックしても壊れないか
  • クリップ強度試験:
    どのくらい曲げても壊れないか

 実施する試験のうち、JIS(日本産業規格)などで「適応規格」が決められているものは、その規格内容に従って試験を行う。その場合、適応規格番号をカタログなどに記載でき、製品のアピールとなる。「iPhone」の防水/防塵(じん)性能を表す「IP68等級」はその一例である。JISの見方に関しては、連載「ベンチャーが越えられない製品化の5つのハードル」の第5回「製品が簡単に壊れると、ユーザーはがっかりしませんか?」を参照のこと。

 「取得安全規格」は、特に電気製品では必要だ。例えば、バッテリーが内蔵されていれば発火する危険性があるため、法規制として安全規格が各国で定められている。安全規格の認証が必要な製品であれば、その認証を取得しなければ製品を市場で販売できない。事前に安全規格の認証が必要か否かを専門家に相談して、製品仕様書にその適応規格を書いておくのがよい。

既に決めている内容は“必ず書く”

 スタートアップが既に製品仕様として決めている内容があれば、製品仕様書(案)に“必ず書く”ことだ。例えば、ボールペンの場合、クリップ付きが製品の絶対条件であれば「クリップ付き」と記載する。

 しかし、これが苦手なスタートアップも案外多い。その理由は「そんなことは当たり前」という思い込みがあるからだ。ボールペンの例でいえば、「クリップがあって当たり前」と思っているのだ。しかし、ODMメーカーが同じように考えているとは限らない。当たり前と思っていても、必ず書くべきなのだ。

 さらに製品が、ある決められた規格に準じる必要がある場合には、必ずそれを書く。例えば、「USB Type-Cで接続できる」や「○○(メーカー名)のバイクのハンドルに取り付けられる」などだ。

 また、規格ではないが「ポケットに入るサイズ」や「未使用時は一体化して収納できる」「ストラップで首からつるせる」なども、既に決まっていれば製品仕様書(案)に必ず記載する。

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