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粉体秤量や液体分注/希釈、調合を自動化する新システム、メスフラスコの開栓も可能研究開発の最前線(2/2 ページ)

粉体秤量や液体分注/希釈、調合を自動化するラボ作業ロボットシステム「alinetech LRS」の新バージョンについてアラインテックに聞いた。

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alinetech LRSの特徴とは?

MONOist alinetech LRSの特徴を聞かせてください。

上田氏 人手による前処理作業と比較し、alinetech LRSを採用すると5つのメリットがある。

 1つ目は、メスフラスコ、ホールピペット、サンプルが入った瓶などに専用のバーコードを貼り付けることで、これらの容器を用いた分析の結果と何時何分にどの容器を使用したか、標線合わせはできたかを判断可能な画像を結び付けられる。なお、以下の画像は同システムに内蔵されたカメラにより撮影されたものだ。

標線合わせの画像
標線合わせの画像[クリックで拡大] 出所:アラインテック
カメラの位置調整
カメラの位置調整[クリックで拡大] 出所:アラインテック

 この機能により、人手作業の際に発生しがちな、分析の結果などが作成したサンプルと合わない事態に対して、人が原因なのかサンプルが原因なのかを判別できないということがなくなる。

 2つ目は、前述のカメラによりホールピペットとメスフラスコの標線一致が画像で残る点だ。これにより、作業者の自己申告で行っていたホールピペットとメスフラスコの標線一致を客観的な情報で記録できる。

 3つ目は人手不足の解消だ。ホールピペットやメスフラスコ、フィルトレーションの作業といった精密な業務を安定した品質で作業できる人はなかなか養成できず、高齢になり、引退されてしまうと安定した品質を担保できる作業者がいなくなったりする。その問題を解消できる。

 4つ目は、alinetech LRSではストッカーのサイズ次第ではあるが、粉体秤量、液体分注/希釈、調合を1日当たり100セット以上行える。これは人手作業の量に相当する。さらに、退勤前に容器などをセットすれば、夜間運転を行うことができ、生産量を伸ばせる。

電子天びん上の容器に、設定重量になるまで滴下し秤量、調合が可能(左)な他、粉体供給ユニットにより設定重量になるまで供給し秤量、調合が可能(右)
電子天びん上の容器に、設定重量になるまで滴下し秤量、調合が可能(左)な他、粉体供給ユニットにより設定重量になるまで供給し秤量、調合が可能(右)[クリックで拡大] 出所:アラインテック
設定した目標値になるように重量管理しながら複数の液体を調合可能
設定した目標値になるように重量管理しながら複数の液体を調合可能[クリックで拡大] 出所:アラインテック

 5つ目はデータを活用しやすい点だ。各サンプルのデータを残せるため、分析結果とそれぞれの材料のロットをひも付けられる。そのため、想定外の結果が出た際に、材料をひも付けたり、再現試験を行える。

MONOist 他社のラボ用ロボットシステムとalinetech LRSの違いを聞かせてください。

上田氏 当社の調べによれば、他社のラボ用ロボットシステムが搭載していない機能として、alinetech LRSはホールピペットの標線合わせ機能を搭載している。他社のラボ用ロボットシステムは市販のディスペンサーで応じている。

 さらに、ろ過工程を自動化する機能やメスフラスコの開栓機を備えている点、1台で多品種のホールピペットやメスフラスコに対応できる点も他社のラボ用ロボットシステムとの大きな違いだ。また、他社のラボ用ロボットシステムは協働ロボットを採用しており、タクトが遅いが、当社は協働ロボットを利用していないためタクトが速い。

MONOist 今後の展開を聞かせてください。

上田氏 今後は粉体の秤量工程の精度向上と粘性体への対応を実現したalinetech LRSを開発することを目指す。現状のalinetech LRSは当社が独自開発した粉体秤量機を搭載しているが、顧客が望む高い秤量要求精度に対応しきれていない。そのため、粉体秤量機メーカーと連携し、高精度化と対応可能な粉体の品種増加を進める。

 高粘度で水あめのような粘性体に対しては現行機でも高精度の秤量が可能だが、今後さらに精度を上げてmgオーダーで秤量できるように開発を推進する。これが可能になることで、従来のHPLC分析における前処理作業の大部分を自動化できる。

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