水素エンジンハイブリッドシステムを搭載した水素動力車両の試作機が完成:鉄道技術
JR東海は、水素を燃料とする水素動力車両の開発の一環として、水素エンジンハイブリッドシステムの試作機を完成させた。今後は性能評価試験や模擬走行試験を進めていく。
JR東海は2024年11月26日、水素を燃料とする水素動力車両の開発の一環として、水素エンジンハイブリッドシステムの試作機が完成したと発表した。今後は性能評価試験や模擬走行試験を進める。
水素動力車両は、HC85系のハイブリッドシステムをベースとし、燃料電池と水素エンジンが動力源となる。燃料電池ハイブリッドシステムに関しては2023年度から模擬走行試験を始めている。水素エンジンハイブリッドシステムに関しては2024年度から開発に取り組んでおり、今般、試作機が完成した。今後は小牧研究施設において性能評価試験や模擬走行試験を進めていく。
水素エンジンハイブリッドシステムの試作機は、産業用のディーゼルエンジンをベースとし、i Laboが開発した水素エンジンとJR東海HC85系で使っている発電機、車両制御装置、蓄電池を組み合せたシステムを搭載する。水素エンジンは、耐久性と出力密度の高さや高負荷域における高効率性が期待でき、また、燃料電池と比べて低い水素純度でも運転可能という長所を持つ。
同試作機の開発に当たっては、鉄道車両に水素エンジンを適合させるため、エンジンが一定の回転数で動くように水素エンジンを改良し、また、加速時や勾配区間走行時などの負荷状況に対応して水素エンジンと蓄電池の出力を最適制御する装置を実装した。
政府の「2050年カーボンニュートラル」政策を踏まえ、JR東海では、鉄道車両から排出されるCO2を実質ゼロとする技術開発を進めている。その手法の1つとして、軽油を燃料に使う従来の気動車に代替する水素を燃料とした水素動力車両の開発を行っている。
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