自動車向け二次電池の世界市場、2050年には3.5倍の規模へ:電動化
富士経済は、自動車向け二次電池の世界市場の調査結果を発表した。2024年は27兆1840億円の市場規模となる見込み。2050年には、2023年比で3.5倍の75兆2236億円に達すると予測している。
富士経済は2024年11月28日、自動車向け二次電池の世界市場の調査結果を発表した。
同調査によると、自動車向け二次電池の世界市場は、2024年に27兆1840億円となる見込み。2050年には、2023年比で3.5倍の75兆2236億円に達すると予測している。
このうち、2024年は駆動用二次電池が25兆159億円(2023年比131.5%)と予測した。内訳は、EV(電気自動車)向けが17兆810億円(同127.7%)、EVトラックおよびバス向けが8699億円(同135.0%)、HV(ハイブリッド車)向けが6575億円(同119.8%)となっている。
2050年には、駆動用二次電池が73兆2399億円(2023年比3.8倍)に達するとした。特にEV向けが66兆278億円(同4.9倍)、EVトラックおよびバス向けが2兆8246億円(同4.4倍)と大きく拡大する予測だ。HV向けは5769億円(同105.1%)にとどまるとした。
EV向け駆動用二次電池の需要が増加する要因として、EVに向けた税制優遇や購入補助、2035年までにICEV(内燃自動車)が欧州や中国などにて販売禁止になることを挙げている。また、2035年以降は、疑似固体電池や硫化物系全固体電池が実用化されると予測した。
また、主に中国や北米、欧州において、路線バスやラストワンマイル(消費者向け物流の最終区間)向けトラックのEV化が進んでおり、電池市場も拡大傾向となっている。現状で中国が最大市場となっており、今後も路線バスや観光バス、中長距離トラックなどでEVが進む模様。欧州でも燃料規制の強化に伴って2025年頃にEV需要が増加する見込みとなっている。
今回の調査は、2024年5月から9月にかけて実施した。同社の調査員により関連企業や団体にヒアリングしたほか、関連文献や社内データベースを併用している。
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