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「富岳」がGraph500のBFS部門で解析性能200TeraTEPSを突破:製造ITニュース
富士通は、スーパーコンピューターの性能ランキング「Graph500」の幅優先探索部門で世界第1位を獲得したと発表した。「富岳」の性能を向上させて、約204TeraTEPSの解析性能を達成している。
富士通は2024年11月18日、スーパーコンピューター「富岳」の測定結果を向上させ、スーパーコンピューターの性能ランキング「Graph500」のBFS(Breadth-First Search:幅優先探索)部門で、世界第1位を獲得したと発表した。
今回の成果は、理化学研究所、東京科学大学、フィックスターズ、日本電信電話(NTT)が参加する共同研究グループによるもの。富岳としては、10期連続での世界第1位となる。
BFSにおける大規模グラフ解析の性能は、大規模で複雑なデータ処理が必要なビッグデータ解析での重要な指標となる。同研究グループは、富岳全体の約96%に相当する15万2064ノードを用いて、約8兆8000億個の頂点と140兆7000億個の枝から成る超大規模グラフに対し、幅優先探索問題を平均0.69秒で解いた。
達成した性能は、前回から23%向上した約204TeraTEPS(Traversed Edges Per Second:テラテップス)で、200TeraTEPSを上回ったのは世界初だという。性能の大幅な向上は、同グループが開発した省メモリ化技術や、良い性能を与える乱数シード値の探索を導入して性能変動を抑えたことが要因となっている。
同研究グループは、今後も富岳による大規模グラフ処理技術の開発を進めていく。
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