弾が勢いよく飛び出す「おもちゃの銃」の仕組み:100円均一でモノの仕組みを考える(6)(4/4 ページ)
本連載「100円均一でモノの仕組みを考える」では、実際に100円均一ショップで販売されている商品を分解、観察して、その仕組みや構造を理解し、製品開発の過程を考察します。連載第6回のお題は「おもちゃの銃」です。
別のタイプのおもちゃの銃も
ここまで説明したものは、銃口側から手で棒状の弾を装填するタイプでしたが、100円均一ショップには、上部の投入口から球状の弾(BB弾)を複数入れることができるタイプのものも販売されていました。こちらも、弾を入れた状態でトリガーを引くと銃口から弾が発射されます。
このタイプのおもちゃの銃を分解してみると、ねじりバネが2本入っていました。この2本のねじりバネで弾を発射するという非常にシンプルな構造です。小さい方のねじりバネはトリガーに連結されています。
トリガーを引くと、2本のねじりバネが圧縮されます。圧縮されていくと弾が銃身にセットされ、トリガーをさらに引き切ると大きい方のバネがトリガーから外れて、バネの戻る力によって弾を押し出します。そして、引かれたトリガーは、小さなバネの力によって元の位置に戻ります。
このように形状は異なりますが、おもちゃの銃はスプリング(バネ)の力を利用して弾を発射します。何度も繰り返し遊んでいると弾の勢いが落ちてくることがありますが、それはスプリングが垂れてきて力が弱まっているために起こる現象です。 (次回へ続く)
著者プロフィール:
落合 孝明(おちあい たかあき)
1973年生まれ。株式会社モールドテック 代表取締役(2代目)。『作りたい』を『作れる』にする設計屋としてデザインと設計を軸に、アイデアや現品に基づくデータ製作から製造手配まで、製品開発全体のディレクションを行っている。文房具好きが高じて立ち上げた町工場参加型プロダクトブランド『factionery』では「第27回 日本文具大賞 機能部門 優秀賞」を受賞している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- カチッ、カチッとペン先を何度も出し入れできる「ノック式ボールペン」の仕組み
本連載「100円均一でモノの仕組みを考える」では、実際に100円均一ショップで販売されている商品を分解、観察して、その仕組みや構造を理解し、製品開発の過程を考察します。連載第5回のお題は「ノック式ボールペン」です。 - ボルトやナットを素早く締めたり、緩めたりできる「ラチェットレンチ」の仕組み
本連載「100円均一でモノの仕組みを考える」では、実際に100円均一ショップで販売されている商品を分解、観察して、その仕組みや構造を理解し、製品開発の過程を考察します。連載第4回のお題は「ラチェットレンチ」です。 - 【トラブル3】成形品に擦り傷が発生!! 抜き勾配の設定に欠かせない3つのルール
量産樹脂製品設計の現場でよくあるトラブルを基に、その原因と解決アプローチについて解説する連載。第3回は、「抜き勾配」に関する理解を深め、成形品の表面に擦り傷が生じてしまう問題の解決に取り組む。 - 【トラブル2】製品表面にエクボのようなへこみが! 射出成形の外観不良ヒケ対策
量産樹脂製品設計の現場でよくあるトラブルを基に、その原因と解決アプローチについて解説する連載。第2回は、成形品の表面にエクボのようなへこみが生じる「ヒケ」に関するトラブルとその対策アプローチについて解説する。ヒケ発生の影響を最小限に抑えるには!? まずは発生の仕組みから理解していこう。 - 樹脂製品を量産するための5つのポイント
2代目社長と一緒に樹脂製品を作ろう。今回は樹脂製品を量産するために確認しておきたい5つのポイントについて解説する。 - ヒケやショートが発生しないようにするには?
設計ビギナー注目! 製品を射出成形で量産するときに何を気を付けるべきか? 2代目社長が“一から”教えます!