カチッ、カチッとペン先を何度も出し入れできる「ノック式ボールペン」の仕組み:100円均一でモノの仕組みを考える(5)(1/2 ページ)
本連載「100円均一でモノの仕組みを考える」では、実際に100円均一ショップで販売されている商品を分解、観察して、その仕組みや構造を理解し、製品開発の過程を考察します。連載第5回のお題は「ノック式ボールペン」です。
本連載は、実際に100円均一ショップで販売されている商品を分解、観察して、その仕組みや構造を理解し、製品開発の過程を知ることを目的としています。前回は、ボルトやナットを締めたり、緩めたりするための工具「ラチェットレンチ」の仕組みを取り上げました。
テーマ5:ノック式ボールペン
連載5回となる今回は「ノック式ボールペン」を題材に取り上げます。なお、解説するのはインクが出る仕組みではなく、“ボールペンのペン先を出し入れする仕組み”になります。
ノック式ボールペンの部品構成
まずは、全体の構成を見ていきます。ノック式ボールペンは、内部に「ノック機構」が組み込まれており、ペン先を出したり、引っ込めたりできます。主に以下のような部品で構成されています。
ノックボタン
ペンの上部にあり、指で押すことでペン先を出し入れする役割を担うボタン。このボタン動作がノック機構を動かすトリガーとなります。
回転子
ノックボタンを押すと動作する小さな回転機構のことです。この回転子が回転することで、ペン先の出し入れの動作を実現します。ノックボタンを指で押すたびに回転子が回転して、ペン先を出したり、引っ込めたりします。
インクチューブ
インクが入っている細長い筒のことです。ペン先にインクを供給する役割を担います。インクチューブの下端にはボールポイント(ボール)が接続されており、書く際にインクがスムーズに紙に転写されるようになっています。
ペン先(ボールポイント)
ペン先に取り付けられた小さなボールで、インクを紙に塗布する部分となります。このボールが回転することで、チューブ内のインクを紙に移します。
スプリング
ペン内部にあり、ペン先の出し入れをスムーズに行うための弾力を提供します。ノックボタンを押した後、スプリングの力でペン先を戻します。
クリップ
ペンの外側にある、ペンをポケットやノートに挟むための部品です。クリップは外観の一部ですが、構造的に軸部分と接続されていることが多いです。
ボディー(ペン軸)
ペンの外側を覆っている部分で、全ての内部部品を収納しています。プラスチックや金属で作られることが多く、ペンのデザインや使いやすさに影響します。内部には回転子の回転を補助する「カム」が設けられています。
グリップ
ゴムライクの素材でできた滑り止めです。
肝となる「回転カム機構」
ノック式ボールペンの肝となる機構が「回転カム機構」です。ノックボタンを押すと、回転子という小さな部品が回転して、ペン先、インクチューブが上下に動きます。この回転子は、ノックボタンを押すたびに少しずつ回転し、ペン先が出たり、引っ込んだりする動きを繰り返します。
- 1回目のノック:
ノックボタンを押すと、回転子が回転してペン先を先端に押し出す(ペン先が出る) - 2回目のノック:
もう一度ノックボタンを押すと、回転子が再び回転してペン先を元の位置に引き戻す(ペン先が引っ込む) - 3回目のノック:
さらに、もう一度ノックボタンを押すと、回転子が回転してペン先を先端に押し出す(ペン先が出る)
※以降この繰り返し
ちなみに、この回転子の回転を補助しているのが、ボディー内側に付いているカムです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.