Formlabsが3Dプリンタ交流イベント「Form Meets」開催 Form 4シリーズなどを訴求:Form Meets 2024(1/2 ページ)
Formlabsはミートアップイベント「Form Meets 2024」を開催。「Form 4シリーズ」をはじめとする新製品の紹介やユーザー企業によるプレゼンテーション、ユーザー同士の交流を深める懇親会などが行われた。
Formlabsは2024年11月14日、東京都内で“3Dプリントをより良く活用する”ためのミートアップイベント「Form Meets 2024」を開催。Formlabsの新製品の紹介やユーザー企業によるプレゼンテーション、ユーザー同士の交流を深める懇親会などが行われた。本稿ではその模様をダイジェストでお届けする。
Formlabsのミッションと強み
冒頭の挨拶(あいさつ)に登壇したFormlabs チャネルセールスマネージャーの大熊宏氏は、「Formlabsはこれまで“誰もが簡単にモノづくりに参加できる世界を実現する”ことを目指し、歩み続けてきた」と述べ、樹脂3Dプリンタで市場シェア第3位、累計販売台数13万台以上(いずれも同社調べ)と、2011年の創業以来、市場から長年支持されてきたことをあらためて強調。そして、「2024年4月の『Form 4』の発表と同時に、Formlabsのミッションを“誰もが持っているアイデアや考えを形にするツールを提供する企業である”と位置付け、展開を強化している」(大熊氏)という。
また、Formlabsの強みの1つとして「研究開発への投資が挙げられる」と大熊氏は説明。Formlabsは売上高の約27%を研究開発に投資しており、その割合は「Appleや大手3DプリンタベンダーであるStratasysを凌ぐほどだ」(大熊氏)とアピールする。
さらに、ユーザーの支持を集める源泉となっているのが「顧客の声に耳を傾ける姿勢だ」(大熊氏)という。Formlabsではこの点を何よりも重要視しており、ハードウェアやソフトウェア、材料(レジン)、オプション品などの改善はもちろんのこと、近年では汎用(はんよう)レジンの値下げ、まとめ買い割引、Open Materials Mode(以下、OMM)の提供なども実現。「これらは全て皆さまの声から生まれているものだ」と大熊氏は説明する。
前モデルから大幅に進化した「Form 4シリーズ」の特長
続いて、同社 シニアアプリケーションエンジニアの小林俊亮氏が登壇し、2024年4月に発表した、プロフェッショナル向け光造形(SLA)方式3Dプリンタの最新モデルであるForm 4と、同年10月に発表した旗艦3Dプリンタ「Form 4L」を中心に、2024年の製品アップデート内容について紹介した。本稿では「Form 4シリーズ」の話題を中心にお届けする。
※以下、Form 4とForm 4Lで共通する部分は「Form 4シリーズ」として明記して説明する。
Form 4シリーズの強化ポイントは、前モデルの「Form 3シリーズ」に採用されていた独自の3Dプリントエンジン「LFS(Low Force Stereolithography/レーザーとミラーを独自に設計、融合させたシステム)」ではなく、再設計した新たな3Dプリントエンジン「LFD(Low Force Display)」を採用している点だ。
LFSではレーザーを“点”で照射してレジンを硬化させていたが、LFDでは“面(レイヤー単位)”で一気に硬化できるようになり、精度、信頼性の向上に加え、造形スピードが圧倒的に速くなった。その他、カメラ、レジンレベルセンサー、荷重センサー、残留物検出ミキサーなどの各種センサー類の搭載により、安定稼働を実現している。
Form 4シリーズの肝となるLFDの実現を支えているのが、(1)バックライトユニット、(2)ライトプロセシングユニット 4(LPU 4)、(3)リリーステクスチャ、(4)フレキシブルフィルムレジンタンク、(5)インテリジェント制御システム、(6)レジン自動供給システムだ。詳しくはニュース記事「Formlabsが新型3Dプリンタ「Form 4」発表、LFSを超えるプリントエンジンを採用」に記載の通りだが、「バックライトユニットに搭載されているLEDの数はForm 4が60個、Form 4Lが145個になる」と小林氏は説明する。
Form 4の造形スピードは、「Form 3」と比べて全材料で平均3.5倍高速化しており、ほぼ全ての造形が2時間以内で完了するという。また、最大造形サイズについても「Form 3+」比で30%ほど拡大しているとのことだ。一方、Form 4の約4.6倍の造形サイズを誇るForm 4Lの場合は、ほぼ全ての造形が6時間以内で完了するとしている。Form 4Lの詳細についてもニュース記事「最大造形サイズがForm 4の約5倍、満を持して登場した旗艦3Dプリンタ『Form 4L』」をご覧いただきたい。
LFDの採用によって、造形スピードが格段にアップしたForm 4シリーズの稼働率は、Form 3シリーズよりも自然と高まることが考えられ、その分レジンの消費も早くなることが予想される。ユーザーにとって材料費の負担が大きな課題となるが、同社はこれを見越して「GreyレジンV5」をはじめとするスタンダードレジンの価格を従来の半額に設定し、安心してForm 4シリーズを利用できる施策なども展開している。
また、新たなトピックスとして注目したいのは、Formシリーズ(SLAモデル)の新たな洗浄液「Resin Washing Solution」(5リットルパッケージ)だ。「これまで主に洗浄液として用いられてきたIPA(イソプロピルアルコール)は有機溶剤中毒予防規則(以下、有機則)に該当するため使用が難しいというユーザーもいたが、Resin Washing Solutionは有機則には該当せず、揮発せずに引火点も高く安全に使用できる洗浄液だ」(小林氏)という。
その他、小林氏はOMMを含めたオープン化戦略、専用ソフトウェア「PreForm」の機能強化ポイントなどを紹介した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.