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ワイヤレスカーが日本法人設立、日系自動車メーカーへの対応強化車載情報機器

スウェーデンに本社を置くワイヤレスカーは日本支社を設立した。

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ワイヤレスカーのニクラス・フローレン氏[クリックで拡大]

 スウェーデンに本社を置くワイヤレスカーは2024年11月6日、説明会を開いて日本支社を設立したと発表した。

 1999年に創業した同社は、ボルボ・カーやBMWのテレマティクスサービス開発をきっかけに事業を拡大。現在は25社の自動車メーカーと取引し、総計105カ国で展開されるコネクテッドカー向けのプラットフォームを手掛ける。

 ワイヤレスカー CEOのニクラス・フローレン氏は「日本の自動車メーカーはグローバルでビジネスを展開し、どの地域でも一定のシェアを持っている。グローバルに対応したプラットフォームを提供できるわれわれの強みを提供し、日本事業を強化する」と述べた。

 ワイヤレスカーの日本支社は東京都内にオフィスを構え、ワイヤレスカーにおける日本の売上高比率を2030年までに倍増させることを目指す。当初はセールス部門のみだが、徐々にエンジニアも増やし、日系自動車メーカーとの日本での共同開発にも取り組みたい考えだ。日本で新車を販売する海外自動車メーカーもサポートしていく。

日産やスバルと長年の取引

 ワイヤレスカーは、コネクテッドカー向けのサービスやクラウドベースのAPI製品を開発/運用する。ワイヤレスカーのサービスは自動車メーカーを通じて1400万台のコネクテッドカーに提供されているという。欧州や米国、アジアの8カ国で合計750人の従業員が働く。

 同社が提供するのは、(1)シームレスな車両接続や多様なデジタルサービスの提供に対応したクラウドベースのプラットフォーム、(2)デジタルキーの管理、(3)EV(電気自動車)の充電を織り込んだ走行ルートを計画するツール、(4)車両盗難の検出や緊急通報のコールセンターとの接続などのセキュリティ、(5)効率的で環境にやさしい移動をサポートする「ジャーニーインテリジェンス」など。

 日系自動車メーカーでは、日産自動車やSUBARU(スバル)が顧客で、日産自動車とは10年以上、スバルとも10年近い取引があるという。スバルとは、米国で展開するコネクテッドサービス「SUBARU STARLINK」でかかわった。同サービスではパンクなどの際のロードサービス、広大な駐車場で自分のクルマを見失ったときに駐車場所を知らせるアラート、車内へのペット置き去り検知などを提供している。

 自動車メーカーが提供するコネクテッドサービスには、サプライヤーや通信事業者、クラウドベンダーなどさまざまな企業がかかわる。フローレン氏は「こうした企業は競合でもあるし、共同開発のパートナーでもある。自動車メーカーのコネクテッドサービスのプラットフォームに対してある製品を提供するという企業が多い一方で、われわれは自動車メーカーと密にコミュニケーションを取りながらプラットフォームを構築するという考え方だ。ただ、プラットフォームに必要な技術を全てわれわれが提供できるわけではないので、コネクテッドサービスにかかわるさまざまな企業と協力する」と説明した。

 ワイヤレスカーはすでに多くの国でコネクテッドサービスのプラットフォームを提供している。「ある程度出来上がっているわれわれのプラットフォームを使ってカスタマイズしてもらえば、自動車メーカーがより多くの地域に迅速にコネクテッドカーを投入することに貢献できるのではないか」(ワイヤレスカージャパン リージョナルディレクターの杉野貴美廣氏)。

 また、欧州に本社を構える立地を生かし、サイバーセキュリティの規格やGDPR(一般データ保護規則)の動向についても最新情報を収集し、ワイヤレスカーのプラットフォームとしてスピーディーに対応するという。自動車メーカーの開発負担軽減に貢献するとしている。

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