AGV活用で二輪車組み立て工程を革新、ヤマハ発動機が進める生産DXとは:ITmedia Virtual EXPO 2024 夏(2/2 ページ)
アイティメディアは製造業向けの国内最大級のオンラインイベント「ITmedia Virtual EXPO 2024 夏」を開催。本稿では「AGVバイパス方式での二輪車組立工場革新〜ヤマハ発動機の生産DX〜」をテーマとしたヤマハ発動機 生産本部 製造技術統括部 組立技術部 部長の岡田祐介氏の基調講演の模様を紹介する。
ライン集約もロット台数は10分の1、ハイサイクル生産が可能に
AGVバイパスラインは大きく分けてメインライン1、メインライン2、セル工程、完成検査の4つで構成している。
工数の多いモデルはメインライン1、メインライン2、セル工程、完成検査の4つ全ての工程を使って組み立てを行う。工数が中程度のモデルは、メインライン2をスキップしてバイパスする。工数の少ないモデルはメインライン1で完結し、そのまま完成検査に流れる形となっている。
こうした組み立て方をすることで、模擬的にライン長を変更するやり方をとっている。これを実現するために、AGVの上に二輪車を乗せて組み立てを行うAGVバイパスラインを採用した。
岡田氏によるとAGVバイパスラインは「超汎用で、組み立て工数が多いものから少ないものまで、全モデルをロスなく生産するという特徴をもつ」というものだ。
4つあったラインは2ラインに集約され、1ロット4台のハイサイクル生産が可能となった。1つのラインの生産モデルは17モデル3カテゴリーとし、「それぞれのラインでどんなモデルも流せるような生産方式をとっている」(岡田氏)という。
1ロット4台となり全モデルを毎日生産できるようになったため、ユーザーの要望にタイムリーに応えられるようになった。さらに作業者からも「毎日生産するので全モデルの習熟が早くなった」「一度習熟すると忘れずに作業できる」などの声が出ているという。
従来はカテゴリー別の組み立てラインにモデルごとに合ったスピードで生産していた。工数が大きいモデルを流している間に、次の小さいモデルを流しても、前のモデルの生産が終わらない段階では、前のモデルの組み立てスピードで流さざるをえなく、干渉ロスのある生産を行っていた。
AGVバイパスラインではどのモデルでも同じスピードで、かつモデルによって組み立てラインの長さを変えて干渉ロスを無くす生産方法をとっている。
「市場追従を目指した汎用化、ハイサイクル生産と生産性の両立に取り組んでいるが、生産性についてはまだ目指した目標には至っていない。人にやさしい工場としても道半ばだ。国内工場の改善に加えて、海外工場でも汎用化や生産のフレキシビリティに対する技能を伝承して、日本のモノづくり、海外のモノづくりの進化に貢献していきたい」(岡田氏)
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