ベトナム工場で鋳物の加工能力を2倍に、工作機械のリードタイムを短縮:工場ニュース
シチズンマシナリーは工作機械の鋳物の生産するベトナム工場に加工棟を増設することを発表した。
シチズンマシナリーは2024年10月18日、工作機械の鋳物の生産するベトナム工場のCitizen Machinery Vietnam内に新たに加工棟を新設することを発表した。
シチズンマシナリーは現在、海外ではタイ、フィリピン、ベトナム、中国に生産拠点を置いている。ベトナム工場は日本の軽井沢本社工場、タイ、中国にCioncomブランドの工作機械の鋳物を供給するために2005年に設立された。なお、Miyanoブランドの工作機械に使われる鋳物はフィリピンで製造されている。
鋳物は砂型に溶融した金属を流し込んで固め、その後、マシニングセンタなどによる加工を経て工作機械の部材として完成する。ベトナム工場では2018年には増床して加工棟を設けて鋳物の加工をスタートしたが、現状では加工能力が不足しているため、一部は日本に送って加工し、タイに供給するという非効率な状況が生まれていた。
「ベトナムから日本に持ってくるだけで1、2週間とかかる。加工を終えて送り返すのにまた同じくらい時間がかかる。ここのリードタイムを短縮する」(シチズンマシナリー 代表取締役社長の伊奈秀雄氏)
加工棟を新設することで、加工能力を2倍に増強し、物流の無駄を解消して生産効率を高める。新しい加工棟の延べ床面積は4390m2で、完成は2025年8月を予定している。加工設備も含めると、14億円程度の投資を見込んでいる。
加工棟の2階には各種イベントやバドミントンが行える多目的エリアを設置して、現地社員の福利厚生施設として活用。その他、従業員向けのプレゼンテーションやコミュニケーションの強化、内部研修などにも取り組む。
シチズンマシナリーでは現中期経営計画(2022〜2024年)において、「売上高1000億円に向けた事業基盤の構築」を目指しており、中国やタイ、軽井沢本社工場、北上事業所で生産力強化の取り組みを続け、機械本体の生産能力を4割増強し、成長する市場に対応するような体制を整えてきた。
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