ソフトウェアの強さで自動化の波をつかむMujin、感じるユーザーの変化:FAインタビュー(2/2 ページ)
人手不足が深刻な製造現場や物流現場の自動化で存在感を高めているMujinだ。同社の共同創業者でCEOの滝野一征氏に話を聞いた。
米国と欧州では日本の倍の値段でも売れる
MONOist 海外事業の状況はどうでしょうか。
滝野 中国市場は当社にとってコストセンターの状態だ。大きな案件があれば動くが、無理して取りに行っていない。産業がまだ成熟していないのか、ソリューションやソフトウェアにあまり価値を見いだしてくれない。ただ、中国で日本や米国向けのハードウェアも作っている。
米国や欧州は積極的に取りに行っている。現地の人件費が高いため、日本の倍の値段でも取れる。Mujinは日本や中国で戦ってきたためとても筋肉質だ。海外ではまだ物流領域のみで、FA領域はまだ手掛けていないが、1年以内には始めたい。
MONOist 2024年2月に建築業許可を持つMujin Japanを設立した狙いとは。
滝野 建築業許可がないと工事ができないからだ。われわれはロボット、AGVを持っていても、これまで自分たちで据え付けができず、他社に任せないといけなかった。その点をユーザーからも指摘されており、Mujin Japanができて工事が全てワンストップでできるようになった。
プロジェクトが大きくなるほど、ユーザーはワンストップでやりたい。例えば問題があったときに、工事の問題なのか、ソフトウェアの問題なのか、ユーザーにとってその切り分けが負担になってしまう。
キラーアプリケーションを軸にプラットフォームを展開
MONOist 今後の事業展望を教えてください。
滝野 Mujinはキラーアプリケーションを作ってきた。それがつながってプラットフォームになった。ソフトウェアが強くなり、いろんなアプリケーションができるようになれば、それがプラットフォームになる。逆にアプリケーションのないプラットフォームは失敗する。
Mujinはロボットだけではなく、ロボットとAGV、その他の製品も組み合わせて、ロボットマテハンのトータルソリューションを展開している。その幅をさらに広げ、能力やフレキシビリティを高めていく。
ロボットのコントローラーやAGVのフリートマネジャーも作り、それらを合わせるWES(倉庫運用管理システム)などの上位層も作り出した。ロボットは自社製品だから、最も効率のいい自社製品を作れる。
あるAGVのメーカーからは自前のソフトウェアを消してMujinのソフトウェアでやってもいいといわれている。ロボットと同じ展開になっている。そっちの方がハードウェアメーカーも売れる。
ユーザーは、AGVや自動倉庫のメーカーは異なっても自社に合った製品をソフトウェアでまとめてほしいと思っている。
今、ロボットのマテハンはすごく複雑で、これをまとめるにはソフトウェアのパワーがかなりいる。この領域はわれわれにとってブルーオーシャンだ。
自動化するときに、人がやっていた作業をそのまま自動化するわけにいかない。全体を把握して、現状分析を定量的に行い、必要なシステムを考え、設備を提案する必要がある。われわれもコンサルティングを行っているが、すごく伸びている。メンテナンス専用チームを作った。
自動化の流れは止まることはない。人件費も金利も上がっている。自動化のコストも上がっていくので、延期してもいいことは何もない。だから市場自体はどんどん伸びる。自動化することで省人化できるし、人に依存していた技術を守ることができる。
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