化学強化廃棄塩を肥料原料としてリサイクルすることに成功:リサイクルニュース
AGCディスプレイグラス米沢とユーグレナは、車載ディスプレイ用カバーガラスの化学強化工程で発生する廃棄塩を、肥料原料としてリサイクルすることに日本で初めて成功した。
AGCの100%子会社であるAGCディスプレイグラス米沢(ADY)とユーグレナは2024年10月17日、車載ディスプレイ用カバーガラスの化学強化工程で発生する廃棄塩を、肥料原料としてリサイクルすることに「日本で初めて成功した」(ユーグレナ調べ)と発表した。
廃棄塩をリサイクルし製造された肥料は、ユーグレナが発売している。なお、この技術は2024年7月8日にAGCとユーグレナが特許を出願した。
AGCグループから排出される全ての廃棄塩をリサイクルすることを目標に
ADYは、車載ディスプレイ用カバーガラスの強度を高めるため、硝酸カリウムを主成分とする溶融塩を用いて化学強化を行っている。この工程で使用された塩は焼却処理や埋め立て処理によって廃棄されており、環境負荷を増す要因となっていた。
一方で、廃棄塩に含まれる窒素/カリウムは肥料の三要素を構成する重要な成分だが、日本はこれらの成分を含む肥料原料の大部分を輸入に頼っており、国際情勢によって供給が不安定化しやすいことが懸念されていた。また、ユーグレナはサステナブルアグリテック事業として、未利用資源を飼料や肥料にして循環型農業を実現する取り組みを行っている。そこでADYとユーグレナは、廃棄塩に高濃度の窒素/カリウムが含まれていることに着目し、肥料原料として活用することを目指した。
今回の協業を通じて、廃棄塩が肥料原料としてリサイクル可能なことを確かめた。今後は、AGCグループから排出される全ての廃棄塩をリサイクルすることを目指す。そして、焼却処理に伴うCO2の排出や埋め立て処分による環境負荷の低減に取り組み、国内の未利用資源活用により、肥料原料の海外依存度を減少させることで国内の肥料市場や農業の持続可能性に貢献する。
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