ニュース
生成AIを応用し、接触の多いタスクのロボット学習を効率化する技術を開発:人工知能ニュース
パナソニックホールディングスは、ロボット制御向けのAI技術「Diffusion Contact Model」を開発した。生成AIを応用し、接触の多いタスクでロボットを制御するための学習を効率化、高精度化する。
パナソニックホールディングスは2024年10月2日、ロボット制御向けのAI(人工知能)技術「Diffusion Contact Model」を開発したと発表した。生成AIを応用し、接触の多いタスクでロボットを制御するための学習を効率化、高精度化する。
従来のロボット制御では、接触時の動きや力を制御するパラメーターのチューニングが必要となる。特に人や物との接触を伴うタスクは、触れたときの動きや力が複雑であることからシミュレーションが困難で、実機を用いて何度も試行を繰り返し、教示していた。
Diffusion Contact Modelは、ロボットが物体に触れたときの力を段階的にシミュレーションして高精度に予測できるため、制御パラメーターをシミュレーション環境(モデルベース)で効率的にチューニングできる。
シミュレーション環境で実験したところ、従来の深層モデル(DNN)と比較して、Diffusion Contact Modelは高い精度で接触力を予測した。実機による拭き取りタスクの実証では、人の手でロボットに教え込む作業を含めて、全体で80分要していたタスクの学習を約25分に短縮できることを確認した。
同技術の応用により、多くのタスクを自動化できるようになるため、労働力不足をはじめとする社会課題の解決に役立つことが期待される。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 製造業の生成AI活用に3つの道筋、製造現場などでの活用事例を探る
最も大きな注目を集めるワードの1つである「生成AI」。製造業ではどのように役立てられるのだろうか。活用事例を幾つか取り上げるとともに、製造現場などでの活用事例を探る。 - ついに始まった外観検査と生成AIの融合――画像センシング展2024レポート
2024年6月12〜14日にパシフィコ横浜で開催された「画像センシング展2024」では、さまざまな画像処理機器やセンシング技術の展示が行われた。特に注目を集めたのが、外観検査との融合が始まった生成AIの活用事例だった。 - 生産性向上だけじゃない、パナソニックコネクトがChatGPTを全社導入した理由
世界中で話題の「ChatGPT」。国内企業で早期に全社導入を決定した1社がパナソニック コネクトだ。ChatGPT導入に至った背景や活用の可能性について聞いた。 - パナソニック コネクトが生成AI技術を応用、画像認識学会のコンペで世界第2位に
パナソニック コネクトのAIマルチエージェントシステムが、画像認識の学会「CVPR2024」のコンペで世界第2位の評価を獲得した。3分間の動画を見て最適な回答を選ぶタスクに挑戦し、正解率71%を達成した。 - モノづくりの知識を身に付けた生成AI、パナソニックHDが技術承継などで活用へ
パナソニック ホールディングス(パナソニックHD)とストックマークは、パナソニックグループ専用の大規模言語モデルの開発で協業する。パナソニックグループの社内データを追加事前学習させた「Panasonic-LLM-100b」を開発し、設計や製造などのモノづくり業務において、自然言語でのやりとりで業務支援を行えるような仕組み構築に取り組む。 - 「製造業らしい活用」が増加 パナソニック コネクトの生成AI全社導入の経過報告
パナソニック コネクトは社内向けのAIアシスタントサービス「ConnectAI」について、2023年6月〜2024年5月までの活用実績と今後の活用構想について発表した。