リサイクルリチウムを使用した電池正極材の評価で通常品と同等の性能を確認:リサイクルニュース
住友金属鉱山は、同社のパイロットプラントでリチウムイオン二次電池をリサイクルし回収した中間物(リチウム含有スラグ)から、関東電化工業が高純度化して作ったリサイクルリチウムを使用したLIB用正極材を、天然資源で作製したLIB用正極材と比較し、両者の性能が同等であることを確認した。
住友金属鉱山は2024年10月2日、同社のパイロットプラントでリチウムイオン二次電池(LIB)をリサイクルし回収した中間物(リチウム含有スラグ)から、関東電化工業が高純度化して作ったリサイクルリチウムを使用したLIB用正極材を、天然資源で作製したLIB用正極材と比較し、両者の性能が同等であることを確認したと発表した。
2026年6月にLIBを効率的にリサイクルできる2基のプラントが完成予定
住友金属鉱山は関東電化工業との共同開発により、使用済みのLIBから銅、ニッケル、コバルト、リチウムを回収し、電池材料として再資源化を行う「電池to電池」のリサイクルプロセスを確立している。
このプロセスでは、住友金属鉱山が銅、ニッケル、コバルトを回収し、リサイクルプロセスで発生するリチウム含有スラグから関東電化工業がリチウムを高純度で再資源化する。
関東電化工業と住友金属鉱山のLIBリサイクルプロセス。今回、性能評価したリチウムイオン二次電池正極材は、図の緑色の矢印(スラグ→リチウム→湿式精錬工程→高純度リチウム化合物→電池材料製造プロセス)を経たリサイクルリチウムを使用[クリックで拡大] 出所:住友金属鉱山
既に2023年には、住友金属鉱山のリサイクルプロセスで回収されたニッケルとコバルトを使用した正極材の電池性能について、顧客から既存品と性能が同等であるとの評価を受けている。今回リチウムでも住友金属鉱山での性能評価で問題がないことを確認できたことを受け、今後はリサイクルしたニッケル、コバルト、リチウムを用いた電池正極材の評価を顧客のもとで進める予定だ。
LIBのリサイクルに関して住友金属鉱山は、乾式製錬と湿式精錬の組み合わせにより不純物含有量が多い使用済みLIBも効率的に処理することが可能なプラントの建設を進めている。東予工場(愛媛県西条市)とニッケル工場(愛媛県新居浜市)内で建設中の同プラントは、2026年6月の完成を予定しており、設備能力(原料処理量)はLIBセル換算で年間約1万トンを計画している。
なお、両プラントの建設は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「グリーンイノベーション基金事業」の支援を受けている。
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