レゾナックがソイテックとSiCパワー半導体向け貼り合わせ基板の共同開発契約締結:材料技術
レゾナックは、先進的な半導体基板材料を製造するフランスのソイテックと、パワー半導体に使用される8インチの炭化ケイ素SiCエピウエハーの材料となる8インチSiC貼り合わせ基板の共同開発契約を締結した。
レゾナックは2024年9月24日、先進的な半導体基板材料を製造するフランスのSoitec(ソイテック)と、パワー半導体に使用される200mm(8インチ)の炭化ケイ素(SiC)エピタキシャルウエハー(SiCエピウエハー)の材料となる8インチSiC貼り合わせ基板の共同開発契約を締結したと発表した。
同社の高品質なSiC単結晶基板とソイテックの基板貼り合わせ技術を組み合わせることで、8インチSiCウエハーの生産性を向上し、SiCエピウエハービジネスでのサプライチェーンの多様化を目指す。
ソイテックがレゾナックの単結晶を使ってSiC張り合わせ基板を製造
パワー半導体は、電動車(xEV)や産業機器などのパワーアプリケーションで、幅広い用途で採用され、今後さらなる市場規模の拡大が見込まれている。特に、SiCはシリコン(Si)に比べ、電力変換時の電力損失や熱の発生が少なく、省エネルギー化に貢献するため、需要が拡大している。
しかし、SiCパワー半導体の主要材料となるSiC単結晶基板は均一な結晶であることが求められ、その生産には高度な技術が必要で、かつ結晶成長に時間を要することから、生産性向上が課題となっている。
一方、レゾナックは、SiC単結晶基板でエピタキシャル層を成長させた高品質なSiCエピウエハーを生産しており、国内外のデバイスメーカーから評価を得ている。また、8インチの大口径化を進めており、サンプル出荷を開始している。
また、ソイテックは、高品質なSiC単結晶基板を加工し、その加工面をサポート基板となる多結晶SiCウエハーに貼り合わせ、単結晶基板を薄膜分割することで、1枚のSiC単結晶基板から複数の高品質SiCウエハーを生産する独自技術(SmartSiC技術)を保有している。
この技術は、生産性の向上に加え、SiCウエハー製造時のCO2排出量を最大70%削減できるため、環境負荷とコスト面でもメリットがある。貼り合わせ基板技術は、Siウエハーで既に実用化されており、ソイテックは同技術実用化の知見を有している。
今回の共同開発では、レゾナックは、ソイテックにSiC単結晶を供給する。ソイテックは、その単結晶を使ってSiC張り合わせ基板を製造。両社の共創により、8インチSiCウエハーの生産性を向上し、SiCエピウエハービジネスでサプライチェーンの多様化を目指す。
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