管理職に占める女性の割合は平均10.9%、調査開始後初の10%台へ:キャリアニュース
帝国データバンクが「女性登用に対する企業の意識調査」の結果を発表した。管理職に占める女性の割合が平均10.9%と、調査開始後初めて10%台となった。また、女性管理職が今後「増加する」と32.7%が回答した。
帝国データバンクは2024年8月23日、「女性登用に対する企業の意識調査(2024年)」の結果を発表した。同調査は2万7191社の企業を対象とし、1万1282社から有効回答を得た。
まず、自社における管理職(課長相当職以上)に占める女性の割合を尋ねたところ、「10%未満」が25.5%、「10%以上、20%未満」が9.1%、「20%以上、30%未満」が6.4%、「30%以上」が11.4%となった。また、「0%(管理職が全員男性)」と回答した企業は、2023年調査から2.1ポイント低下し、43.0%となったが、全項目の中で回答割合が最も高かった。
政府が目標とする「30%程度」を達成している企業の割合は、前年から1.6ポイント増えており上昇幅が過去最大となった。2013年の調査開始以降、初めて10%を超えている。「10%未満」(0%を含む)は68.5%となり、初めて7割を下回った。また、管理職に占める女性の割合の平均は10.9%で、調査開始以降初の10%台となった。2023年からの上昇幅は1.1ポイントとなり、2021年と並んで過去最大の伸びとなっている。
女性管理職の割合を企業規模別に見ると、最も低いのは「大企業」で、平均7.6%だった。「中小企業」は11.5%、そのうち「小規模企業」は14.4%だった。業界別では、女性従業員が比較的多い「小売」が19.4%と最も多く、全体(10.9%)を8.5ポイント上回った。次が「不動産」の16.7%、「サービス」の15.3%となっている。
社長を含めた自社の役員に占める女性の割合は、過去最高の平均13.5%となり、2023年の13.1%から0.4ポイント増加した。一方で、「0%(役員が全員男性)」の企業は52.4%と依然として半数を超えている。女性役員割合の平均を企業規模別に見ると、「大企業」が6.7%、「中小企業」が14.8%、うち「小規模企業」が19.1%となっている。
女性管理職の割合が今後「増加する」と32.7%が回答
続いて、自社における女性管理職の割合が、現在と比較して今後どのように変わると考えているかを尋ねた。その結果、「増加する」と32.7%が回答し、「変わらない」が42.4%となった。女性役員の割合の今後の変化を見ると、「増加する」は13.0%で、「変わらない」が57.2%と過半数を占めた。
従業員数別に見ると、「301人以上」の企業は、65.0%が女性管理職の割合が「増加する」と回答しており、全体の32.7%を32.3ポイント上回っている。女性役員が「増加する」は27.5%で、こちらも全体より14.5ポイント高かった。また、全ての区分において、従業員数「301人以上」は前年からの増加幅が管理職、役員ともに最大となっている。
さらに、2023年3月期決算の有価証券報告書から女性管理職比率や男女間賃金格差などの開示が義務化された「上場企業」を見ると、67.1%が女性管理職が「増加する」と回答しており、全体より30ポイント以上高かった。また、女性役員が「増加する」の回答割合も35.6%となり、全体を20ポイント以上上回っている。
女性の活躍を推進するために自社で実施していることを尋ねると、1位は「性別に関わらず成果で評価」(61.2%)で、2位が「性別に関わらず配置、配属」(50.6%)、3位は「女性の育児、介護休業の取り組み促進」(32.8%)となった。企業規模別に見ると、「女性の育児、介護休業の取り組み促進」や「男性の育児、介護休業の推進」で、大企業が中小企業を20ポイント以上上回り、規模間で働き方に関する対策に大きな格差があった。
次に、日本において女性管理職の割合が上昇しない要因や課題について尋ねたところ、最も多かったのは「女性従業員の家庭と仕事の両立がしにくい」(54.4%)で、「日本社会の性別役割分担意識の存在」(38.5%)、「女性従業員が昇進を望まない」(36.2%)が続いた。
企業規模別に見ると、「その他」を除く13項目のうち「性別に関わらず成果で評価している」以外の12項目で「大企業」が「中小企業」を上回った。特に「女性従業員が昇進を望まない」は11.3ポイントの差がついた。
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