パナソニックとヤンマーの協業が第2段階へ、ガスヒートポンプエアコンで合弁:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
パナソニック 空質空調社とヤンマーエネルギーシステムは、ガスヒートポンプエアコン(GHP)室外機の開発と製造に関する合弁会社を2025年4月に設立することで合意した。合弁会社設立と同時に共通化モデルとなる次期製品の開発を開始し、2026年1月から生産を始める計画である。
商品開発では2027年の新冷媒対応が最優先のマイルストーンに
GHPは、ガスエンジンを動力源としてコンプレッサーを駆動するため、夏場や冬場の電力ピークカットに貢献することが大きなメリットになっている。また、台風などの風水害に加えて地震も多く発生する日本において、地中に埋設されたガスインフラによって動作するGHPはレジリエンス性が高くBCPに貢献し得る。そして、カーボンニュートラルに向けて再生可能エネルギーの導入が進む移行期間において、エネルギーの安定供給を維持する上でガスをはじめとしたエネルギーミックスが求められ、ガスと電気の併用が可能なGHPの役割が高まるとみられている。
このGHP室外機の合弁会社を設立するパナソニックとヤンマーESは、開発と製造の両面で補完関係にある。開発では、パナソニックが室内機を含めた空調システム、ヤンマーESが多用途なエンジンと駆動技術を強みとしており、製造ではパナソニックが冷媒回路と制御基板、ヤンマーESがガスエンジンを内製している。生産地も、パナソニックが東日本の群馬工場、ヤンマーESが西日本の岡山工場に分かれている。
統合シナジーとしては、設計の共通化で開発リードタイムの35%短縮、群馬工場と岡山工場の東西2拠点化によるBCPと20%の物流費抑制が可能になる。内製部品の使用量は、それぞれ2倍に増やせるという。なお、これまでの新製品の開発リードタイムは約3年であり、合弁会社では2年に短縮できる見通しとしている。
なお、今回設立する合弁会社はGHP室外機の開発と製造のみを統合する。パナソニックの他空調機や室内機、ヤンマーESの発電機の開発と製造の機能は両社にそれぞれ残ることになる。また、合弁会社で開発/製造したGHP室外機を用いたGHP全体としての販売/サービスも、パナソニックとヤンマーESがブランドを維持しながら個別に事業を展開することになる。
合弁会社における商品開発の方向性で最優先のマイルストーンになるのが、2027年をめどに求められる低GWP(地球温暖化係数)の新冷媒への対応である。2025年の発足から、新冷媒対応の機種展開を広げる2030年までを第1フェーズとし、2030年から2035年の第2フェーズではGHPの特徴を生かした水素混焼や合成メタンの活用といった新エネルギー活用に向けた開発を進めていく方針だ。現行のハイブリッド空調や電源自律型についても、より高機能/高性能化を図るとしている。
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