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シフトレバーを動かしてから、クルマの動きが変わるまでいまさら聞けないクルマの仕組み(3)(3/3 ページ)

今回はクルマが動く上で不可欠なトランスミッションについて、構成部品やその動作について解説していきます。

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ギヤの切り替え

 上記で説明したATとMT、動力を伝達するギヤそのものが異なる種類であるため、変速の流れも異なっています。

ATの変速

 今回挙げたプラネタリーギヤ式ATは一般的なギヤと違い、ギヤそのものを切り離して再噛合するのではなく、どのギヤにエンジンの回転を入力し、どのギヤの回転を固定し、どのギヤからタイヤに向かって出力するのかの選択を変更することで変速します。


画像左がエンジン側。左端に描かれているのが多板クラッチで、上下の灰色がフレーム。これらでプラネタリーギヤセットの入出力機能を選択する[クリックで拡大]
出所:http://altmo.html.xdomain.jp/src_01/2018_0080/00.html

MTの変速

 MTのギヤも常時噛み合い式であり、ギヤそのものを再噛合している訳ではありません。噛み合ったそれぞれのギヤセットに対し、ドライバーがシフトレバーを介してスリーブを移動、アウトプットシャフトへと噛合させて動力伝達の有無を選択しています。


シフトレバー左右方向の移動で操作するスリーブを選択し、前後で実際スリーブを動かす。一般的にシフトパターンが左右方向に3列あるのは、画像の様にスリーブが3つあるからである[クリックで拡大] 出所:新日本油脂工業

MTと自動ブレーキ

 近年はMTでも運転支援機能、特に自動ブレーキを搭載した車種も増えてきました。ATに対してMTにはこういった機能が追加されるのが遅くなりましたが、これには理由があります。

 MTの魅力は何といっても自分で動力の伝達状況をコントロールできることです。ですが、逆に言うとそれは動力の伝達状況にクルマ側のシステムが介入しないということの裏返しでもあります。

 そうすると、ATでは状況に合わせてクルマ側で動力伝達コントロールできたものがMTではできないということになるので、運転支援を入れづらいという状況になります。これが、MTに運転支援が入るのが少し遅くなった理由です。

 現在でもこの状況は根本的には変わっておらず、運転支援の制御に速度下限値が追加設定されたり、自動ブレーキによる停止時にドライバーがクラッチ操作を行わない場合はエンストしたりするような仕様になっています。とはいえ、運転支援がMTにも入るというのはうれしいですね。

→連載「いまさら聞けないクルマの仕組み」バックナンバー

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